あか×すな

□絶対防御
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オイラの恋人はガードが固い。


砂の我愛羅、忍五大国へその名を轟かせた砂での絶対防御は如何なる攻撃をも封殺し、その堅固な盾を打ち崩せるものは無し。

…それがまさか恋の障害になるとは思ってもみなかった。







デイダラは酷く落ち込んでいた。

カンクロウとサソリを捕まえてさっきからわんわん泣き愚図り、しくしくと袖を濡らしている。


「うぅ…っ、辛い…!旦那とカンパチがうらやましい…うん…!!」

「カンクロウだって言ってんじゃん!!」

「ウゼェんだよお前は!!なんでわざわざオレとカンクロウの部屋に来て泣き腐ってやがるんだ!!」

「いや、ココ俺の部屋じゃん!?アンタら二人とも出てけよ!!つーかなんで泣いてんだよアンタは…」


カンクロウが問うと、よくぞ聞いてくれました、と言うようにデイダラが語り始めた。


「…オイラと我愛羅はそりゃあもうラブラブイチャイチャな恋人同士なんだ…うん…」

「早速だがウゼェな。殴りたくなってきた。」

「サソリ、とりあえず最後まで聞いてやろうじゃん。」

「…ラブラブイチャイチャなんだが……まだ…キスさえもしてないんだ…うん…」

「しちまえばいいだろうが…」


サソリの言葉に、デイダラがくわっと顔を上げた。


「しようとしたんだよ、うん!!さっき、昼寝してた我愛羅の寝顔があんまり可愛くてムラムラしたから…き…キスしようとしたんだ…そしたら…!!」

「そしたら?」

「砂の壁が、ザザァって…」


どうやらオートガードの砂に、キスを阻まれてしまったらしい。


「お前…危険物認定されてんじゃねーか…」

「そうなんだよ!!!あれだけラブラブイチャイチャだと思ってたのに我愛羅はオイラの事、危険物扱いなんだぜ!!!?もうオイラ悲しくて悲しくて…ぐす…」


それで、さっきから泣き愚図っていると。


「めんどくせー…カンクロウ、こんな危険物ほっといておやつでも買いに行こうぜ。」

「ちょ、アンタのツレじゃん!?慰めるくらいしてやれよ!!」

「慰めたってキスできる訳じゃねーじゃねーか。砂をなんとかしねー限りは…」

「そうだけど!あ、デイダラ、あの砂はな、我愛羅の意志とは無関係に発動するもんだからそんな気に病む事はねーって!我愛羅がアンタを危険物扱いしてるとか拒んでるって訳じゃねぇから!」

「ほ…本当か…?…」

「ああ、これは確かじゃん。」

「まぁソレが分かったところで砂が何とかなる訳じゃねぇがな。キスもその先も永久に無理なんじゃねぇか?」

「う…うわぁああん!!!」

「こらサソリ!!せっかく泣き止んだのに!!」

「泣かしときゃいいんだこんなガキ…ったくいっつもイチャイチャしやがって…目障りなんだよ。オレもカンクロウとそういう事してぇのに全く羨ましい…」

「ふぇえええん我愛羅ァアー!!」

「…デイダラ…此処に居るのか…?」


静かにドアが開いて、三人が居る部屋へ昼寝から目覚めた我愛羅がやって来た。


「が…我愛羅…!」


寝ぼけ眼を擦りながら我愛羅はデイダラに歩み寄ると、安心したように彼の肩に頭を預けた。


「此処に居たのか…デイダラ…目が覚めたらデイダラが居なくなってて…オレを置いて行ってしまったのかと思った…」

「ぐす…オイラが我愛羅を置いて居なくなるわけないだろ…うん…」

「良かった…ん……デイダラ…泣いているのか…?」


我愛羅の手がデイダラの頬を捕らえて、顔が近付いた。


「何故泣く…?サソリやカンクロウに虐められたのか…?」

「ち、違うんだ…その…オイラ…」

「どうしたんだ?」

「いや…いいって…うん…」

「言え…言ってくれ…オレにできる事なら協力するから…」

「我愛羅…」

「お前の為なら…何でも…言うだけでもいいから…」

「じゃあ言うけど…オイラの事、嫌いにならないでくれよ?」

「ああ。」

「…オイラ、我愛羅と、キスしたい…っ!!」

「……キス…とは、つまり…口中を契ると…そういう意味か…?」

「う…うん…っ!」

「オレと…?」

「我愛羅と!我愛羅とじゃなきゃ嫌だ…うん…!が、我愛羅、いや?」

「……いやでは、ない……オレもデイダラと…キス…したい…」

「我愛羅…っ!でも…それが…ダメなんだ…うん…砂が邪魔して…」

「試したのか…?」

「うん、ごめん、お前の寝顔が可愛かったから…我慢できなくて…悪いとは思ったんだが…」

「いや…謝るな。お前が…オレをそんな風に見てくれて嬉しい…」

「我愛羅…それで、その時砂に邪魔されて、悲しくて泣いてたんだ…うん…お前とキスできないんだって思って…うん…」

「…砂が…そうか……大丈夫だ。問題ない…」

「問題ないって…?」

「オレからキスすれば…きっと…」

「が…我愛羅から、キス?」

「駄目か…?」

「駄目じゃない!!オイラ、我愛羅とキスしたい!!」

「では…は、恥ずかしいから目を閉じてくれ…」

「うん………」


ちゅ。


「あ…我愛羅…!オイラ、我愛羅とキスできた…!!嬉しい…うん…」

「……オレも…嬉しい…」

「も…もう一回、して?」

「ああ…」



頼むから、余所でやれ。

部屋の一角では、歯が浮く程の甘々ラブラブっぷりにサソリもカンクロウも胸やけと吐き気と頭痛を併発したようで、胸と頭を抱え込んでいた。






終劇
 

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