かんたん!!

□Baby
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ガキのケツとオレの身体を洗い、汚れ物を洗濯機に突っ込んで、無事だったパンツ一枚を履いて居間に戻る。

適当に四代目の服を借りようかとウロウロしていたら、またガキが喚き出した。


「今度は何なんだよ…」


オムツもケツもキレイにしてやったっつーのに何が不満なんだよコンチクショー。

抱き方が乱暴だったから機嫌損ねたのか?

生憎だがガキの抱き方は専門外なんだよ。


ほっとこうかとも思ったがぴーぴー煩い。

ご機嫌取りでもしてやるか。


…となると…

アレか?
あのふざけたアレか?


「た…高いたかーい!!」


恥を忍んで高々と抱き上げてやったのに泣き止まねェ。

とするとアレか?
もっとふざけたアレか!?


「い…い…いない…いない…ばぁー!!」


またしても不発。

いい加減泣き止めよ恥ずかしいじゃねーかこの野郎!!

泣きたいのはこっちなんだよクソチビ!


「何だ?テメェは何が望みなんだ?オレを困らせて楽しいか?」


もちろん答えるハズもなく、ガキはふぎゃーふぎゃー泣き喚いている。

揺りかごに入れて揺すったり、玩具箱の中身を全部試したり、もう一回オムツを見てみても成果無し。


「どうすりゃいいんだよテメェ…どうしたら泣き止んでくれるんだよ…」


途方に暮れかけた時、ふとポットが目に入った。


「ひょっとして…こっ、コレか!?ミルクか!?腹減ってんのかテメェ!?」


台所に貼ってあったメモの通りにミルクを調合する。

調合といっても、粉ミルクを溶かして人肌に冷ますだけだが。


「36.5度、よし。今度こそ泣き止めよ、クソガキ…!」


抱き上げたガキの口に哺乳瓶の先を当てると、んくっんくっとおとなしく飲み始めた。


「おお…コレか!コレだったんだな!ざまあ見ろクソガキ!オレの勝ちだ!」


ガキの思惑を読んで泣き止ませたのが誇らしくて、なんだか変なテンションになってきた。


「そぉら、たっぷり飲めよ、クソガキが!さっきオレの顔にあんなにぶっかけたからには、腹減ってんだろ。」


ガキはそうだと言わんばかりに夢中で哺乳瓶に吸い付いている。


「いい飲みっぷりだな、ガキ。おい、そんなに焦るなよ、ゆっくりでいいから、手間かけさせんな。」


時々、口の端からこぼれるミルクとヨダレを拭いてやる。

ったく、世話の焼けるクソガキだ。


「ほら、全部飲め。よし、いいこだ。」


ミルクを全部飲みきったガキは今日会って初めて、幸せそうなツラをしていた。


「なんだ、ご機嫌か?そんなにオレの調合したミルクが美味かったのか?お、そうだゲップさせるんだったな。」


メモの通りにゲップをさせると、ひとしきり泣いて疲れ、満腹になったガキは少し眠たそうに見えた。
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