迷子の体2

□42再び
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2Fフロアに再び戻り、慎重に歩く



薄暗く、静まりかえる空間には
僕達の足音しかせず、化け物の気配がしない。




「いない…ですね」




「確かにいたハズなんスけどね…」



黄瀬くんがきょろきょろと見回して
化け物を探すがそれらしきものは視界には入らない。




一体どこに?








ぴちょん





頬に温かい何かがつく




「テツ!!!上だ!!!」



青峰くんの声が響き

上を向くと赤黒い物体が低く唸っていた。




ガラス張りのフロアは
雲間からこぼれた光によって
白く照らされ
頭上の物体をより鮮明に見せた。




ぬめり、とした皮膚のようなものは
月明かりにより鈍く輝き

僕にも同じ月明かりが照らされた途端
体は硬直したように動かなくなる。



動けずに
頭上にいる゙モノ゙を見続ける僕に血のような液体が落ち続ける。



「おい!!何してんだよ…っ!」



火神くんが動けずにいた僕を脇に抱えて、走る



「とりあえず!!赤司達は部屋に行け!!!」


青峰くんがそう叫ぶと
化け物の気を引き付けて、火神くんと同じ方向に走り出す。


赤司くん達は僕達と反対方向の通路に向かって走り出す。




「このまま時間を稼ぐぞ!いけるか火神!?」



「そんな、ぬるい鍛え方してねーよ!!!黒子の1人や2人かわんねーんだよ!!!!」



「僕は1人です。」



脇に抱えられながら走られ
若干気分が悪くなってきた。


それは、視界に入るあの物体の影響もあるかもしれない。



しかし、何故あの時
僕は動けなかったのだろうか。



頭上にいて気付かなかったのもあるが
体が自分のモノではない感覚だった。


いくら、動けと脳が指令を出しても動こうとしない。




何故。



化け物を視界に入れないように
視線を下に落として考える。


















この時、僕はある゙モノ゙を失っていたことに気づけなかった。



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