迷子の体2

□探索隊。
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※探索〜後の話です。




「何か寒いね…」



「やっぱ幽霊がいるからじゃないスか?」



「今は冬ですしね。」



「秋田に比べたら寒くないけどねー」



「少し冷えるな」



給湯室で冷えた体をさすりながら
それぞれ椅子に座ったり、壁に寄りかかっている。



「あ、ポットがあるよ」



「だが、電気が止まっているからつかないだろう?」



赤司くんの言葉で電気がとまっている事に気付き
じゃあ、使えないのかな…とポットのボタンを試しに押してみる。




ぴっ



「あ、ついた!」



「本当っスか!?」



「うん、これ電池式だったみたい」



これならお茶を飲むことが出来る。
さっき棚にお茶のパックがあったのを思い出す。

「確か棚にパックが…」と言うと

黄瀬くんが、取ってくるっス!といい棚の方に向かう。



その間、私はポットにお水を入れようと
一旦電源を落として
洗い場に行く。




ぱかぱかする蓋を開けて
お水を入れていると、金具が緩かったのか
蓋がパタンと閉まり
水道から勢いよくでていた水が蓋にあたり
私の上半身にかかる。




「わ!」



「大丈夫ですか?」


黒子くんが洗い場に来て、蛇口を閉めてくれる。

水は止まったが、見事に上半身がずぶ濡れだ。


「咲ちん、びしょびしょじゃん」



「やらかしてしまった…」



益々寒くなるじゃないか、と
気持ちが落ちる。




「乾くまで何か着替えた方がいい」




「着替えって言ってもここにそんなものあるのかな…」





「咲っち!こんなものがあったっス!」



黄瀬くんが1つの箱を持ってきた。

棚の上にあったっス、と言って

何か着替えがあるのかなと思い、箱を開けて、一旦閉じる。




「えぇ何で閉じるんスか!?」




「ここには何も入っていません。」




「咲っちに着て欲しいっス!」



こんなもの着たくはない。

しかし、何故こんなものがここに?



「いいんじゃないか?」


黄瀬くんと私がもめている間に
赤司くん達も箱を開けて中身を見ていた。



「いやです。」




「咲、風邪を引くぞ。」

優しい声で言うが、右手で鋏を弄んでいる時点で
もはや強迫だ。
赤司くんと鋏は最強の組み合わせだ。







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「似合うっス!!」



紫原くんの後ろで着替えて、今は皆でお茶を飲んでいる。

中央にある机を囲って椅子に座るが
全然落ち着かない。


私が来ているのはチアリーディングで着る服だ。


七分袖になってはいるが胸元と肩の露出がすごい。


スカートはどうしても着たくなかったので
下は制服のスカートだ。



「似合っているよ咲」



「すごい楽しそうだね、赤司くん」




「咲ちん、可愛いねー」




「ありがとう紫原くん」




「髪、結んでいいスか!?」




「えんがちょ」




「何で俺だけ!?」


もとは言えば、これを見つけた黄瀬くんが悪い。

はぁ、とため息をつくと
全員分のお茶を入れ終えた黒子くんが隣に座る。



「とても可愛らしいですね」




「恥ずかしすぎるよ…。私マネージャーなのに…」


チア服はナイスバディのお姉さんが着るものだ。
私には拷問でしかない。



「僕は試合の時も着て欲しいです。」




「え?」




「試合中、咲さん見てると頑張れるんです。点が入った時やファインプレーがあった時は笑顔で、ミスやピンチがあった時は不安そうにしながら声をかけてくれます。」


試合中、黒子くんと目が合ったことはないと思っていたけど
まさか見られていたとは…



「服が乾くまで、僕のを羽織っててください」




「いいの?黒子くんも寒いんじゃ…」




「僕は大丈夫です。」




そう言って、誠凛ジャージを羽織らせてくれる黒子くん



羽織らせてくれたジャージはとても温かった。



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