迷子の体

□37関係
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意識がはっきり、とすると
赤司くん達が体を支えてくれていた。




「大丈夫かテツヤ?」




「はい、何とか…」



頭に流れ込んできたものは
あまりにも重いものだった。


彼女はあの男に会いたがっている。


だから、僕達はここに呼ばれたのだろうか。




「あの…影は……?」



「あれなら、赤ちんがやったよー」


ほら、と紫原くんが指差す方を見ると
緑色に点灯していたランプに鋏が刺さっていた。



「すげー命中率だな…」




僕も思います。

なんて、言える筈もなく
火神くんに手を借りて立たせて貰う。




「大丈夫か?」



「はい、それより皆さんに話さなければいけないことがドンッ!!「黒子っちぃー!!!!」」


非常階段からすごい勢いで
黄瀬くん達が出てきてドアを閉める。

鍵も閉めて、ドアの前に座り込む。



「つ、疲れたー」




「危なかったのだよ…」




「こ、怖かったっス…」




「んな、事より赤司。咲がいなくなった。」


その言葉にぞくり、とする。

咲さんが…



「どういうことだ。」




「別に化け物に連れて行かれた訳ではねーとは思うけど・・・」




「化け物に遭遇して咲が敵のおとりになって、何とか部屋に逃げ込んだんだが、扉に化け物がへばりついてて出られなくなったんだ。」




「そこで俺と高尾くんが化け物のおとりになってフロアを一周したっス」




「その間に青峰と俺で中を確認したが、花空はいなかったのだよ。」




青峰くん達の話を聞くと
確かに化け物によって消えた訳でもなさそうだ。



「部屋には本当にいなかったのか?他に通路は?」




「部屋には鍵がかかってて、声をかけたが返事が無かった。しかたなくドアを力づくで開けたが蛻(もぬけ)の殻だ。………だが1つ可能性はあるのだよ。」





「どういうことですか?」





「部屋に使用済みモップ入れというダストボックスみたいなのがあったんだよ。大きさ的にも咲くらいなら通れそうだったぜ。多分そこを通ったかもしれねー…」



そのダストボックスみたいな通路を通れば
あの部屋から抜け出すこともできる。


咲さんなら、迷わず通るかもしれない。

彼女は頭の回転が速い。
そういった機転のきく人だ。


帝光時代も桃井さんとは違うサポートの仕方で選手を支えてきた。



「僕も、咲さんならその通路を使った可能性があると思います。」




「そう考えるのが妥当だろう。」




「どうすんのこれからー?咲ちんが何処行ったのかわかんねーし」



「そうっスよ!地下に捕まっている人たちも助けにいかないと!」


黄瀬くんの言っていることは正しい。
しかし、現在咲さんが何処にいるのかわからない状態で地下に行くのも危険だ。




「予定変更だ。一度、2Fに行こう。俺もその部屋を見てみたい。」



「地下はどうすんだよ?」



「地下も行くが、化け物の狙いは咲だ。先に咲の安否を知りたい。」



2Fフロアへ向うことになり、
皆、赤司くんの言葉に反論することなく
意見はまとまる。



「その前に皆さんに話しておかなければならない事があります。」



咲さんに似ている彼女が僕に伝えたことを
皆にも言っておかなければならない。


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