迷子の体

□15受付窓口
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エレベーターを使い、1Fまで降りる。



ゆっくりと出て、周りを確認し
場所がわかる黒子くんと私が先頭に歩く。



エレベーターからそれほど離れていない所にガラス張りの窓口があり
その横には扉がある。



「ここだね」




「はい。皆さん、開けますよ」




それを合図に慎重にドアノブを回して
中に入る。



中は薄暗く、静寂につつまれていた。

机にはプリント類が散らばっており
棚にはファイルが並べられている。



「手分けして調べよう」




「じゃあ、俺はこっち側調べるっス」




「じゃあ、俺はこっちー」




「僕は棚を調べます。」




「私は奥の方を調べるね」




皆で散らばって
部屋の中を調べ始めた。


ファイルは利用者名簿や決算表が主で手がかりに繋がりそうなものは無く
机の中には筆記用具などが入っており
とりあえず鋏とメモとペンを持っていくことにした。



鋏は使える物だよね、うん。



机の上には卓上カレンダーと時計、業務電話、ノートPCが置かれている。



時計はもちろん、止まっている状態だ。


卓上カレンダーには今日の日付に当番!と書かれていて
カレンダーの端に小さな鍵がかかっていた。



「これは…【B1倉庫】っていうことは地下っていうこと?」



プレートに書かれた文字からして、地下の鍵のようだ。




これは、何かの手がかりになるかもしれない。


ポケットに鍵を入れて
とりあえず、赤司くんの所に行こうとすると
何か違和感を感じた。





「(あれ…?)」






部屋の角におかれていた全身鏡をふ、と見ると
私の着ている服装が違ってうつっていた。



今日は、誠凜ジャージの上着と
下は制服を着ていたというより
実際に自分の目で見るとちゃんとその服装なのだが
鏡を通して見ると何故かセーラー服だ。



「(何でだろう……?)」


鏡に近付き、よく見てみようとすると
突然耳鳴りがしたと同時に頭の中に何かが流れ込んできた。








「咲、お前試合に私情を挟んでいないだろうな」



「当たり前でしょ!私はこのチームのマネジャーよ」


選手であろう男がセーラー服の女の人と言い合いをしている。



「嘘をつくな!!!」


バシン、とかなりの力で男が女の人を叩く


「いいか、お前はこのチームのマネジャーで俺の女だ。いい加減、自覚しろ」



「………っ」


悔しそうに顔を伏いたままの女の人


それが気にくわなかったのか
先程叩いた反動で地面に座り込んでいた女の人の手を掴み



「もう一度教えてやるよ」

とにやり、と笑って言った。

その言葉に女の人が伏せていた顔を上げると










その顔は私にそっくりだった。




耳鳴りが止み
流れ込んでいたものが途絶えて
私は鏡の前に立っていた。


さっきのは何だったんだ………

もう一度鏡を見ようとすると
右手首に少し痛みを感じた




「見つけたよ、咲」


鏡の中で男が私の手をしっかり握り
先程同様にやり、と笑っていた。



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