迷子の体

□08遭遇
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ズル、とすごい力で引っ張られて
体勢を崩してしまった。



「咲っち!?」



体勢を崩したことで引きずられていき
二人と距離が離れてしまった。



今だ、強く私の足を握るモノを見ると
それは手だった




いや"手"しかなかった



そのままドアの方へと引きずられて行かれそうになると私の右手を掴むもう1つの手



「き、黄瀬くん・・・!」



「行かせないっスよ!」


間一髪で黄瀬くんが私の手を掴んでくれて
ドアの外に連れ出されることはなかったが
まだ強い力で引っ張られている。



「でかした、涼太」




赤司くんが鋏で゙手゙だけしかないモノを突き刺すと
掴んでいた手は私の足を離して




「消えた…?」




その場から消え去ってしまった。


「大丈夫っスか!?」



「う、うん…ありがとう2人とも」


「足は大丈夫か?」



「ちょっと痛いけど、大丈夫」


掴まれていた所は強く握られていたせいか
ズキ、ズキ、と痛みがしていた。


「また、あの変な手が出てくるかもしれない。一旦、この部屋から離れよう。立てるかい?」


差し伸べる手を掴んで
立ち上がるとずきすぎ、と鈍い痛みがするが
何とか歩けそうだ。



「何処に行くんスか?」




「隣の部屋に移る。」




「まだ、調べてないあの部屋?」



「あぁ。とは言っても、ロッカールームになっているから、あまり期待できそうにないがな。」


赤司くんの手を握ったまま
扉の方へと歩く

歩くとやはり少し痛みがあるが
それを気遣ってか、さっきより歩くのを遅くしてくれている。



「………何で手繋いでるんスか」


「私が、赤司くんとはぐれないようにする為だよ。後、怖くて歩けない」

さっきの事もあり、
私のビビりメーターはすでにMAXに近くなっている。


「それ、俺でも良くないっスか!?」



「涼太五月蝿いぞ」


ポケットから鋏をちらつかせる赤司くん

いや、さっきそれで手を突き刺したよね?
助かったけど、
正直、今は赤司くんが怖いよ。




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