ヘタレヒーロー
□君のこと
1ページ/2ページ
(視点・鈴木 妃妃)
「ひ…ひき………」
冷や汗ダラダラの状態で俺を見上げてくる諺奈、手には今日うつしたはずのノートが握られている。
多分、分からないんだろう、つーか、毎日分からないからと聞いてくる。
全部、ノートに書いてある事が全部分からないらしい。
まぁ、中学ずっと寝てたからこうなるだろうなとかそんな事は簡単に分かった。
けどこいつは馬鹿すぎる。
アホの中のアホだ。
「どこわかんねーの?」
ちょっと苛付いた表情をして見せれば一気にしゅんとする表情。
「あ…えっと……」
ここ…っとためらいがちに聞いてくる諺奈に笑いそうになる。
何だろう、うけるんだよなー…
がたいでかいのにおどおどしすぎの諺奈はホントに変だと思う。
でかくて厳つい奴って普通こんなんじゃねーんだけどな。
…まぁ、中学のころは結構やんちゃしてたけど。
ちゃんと気を使って、一生懸命ちっぽけな脳みそを使って人の相談に乗ってくれる諺奈だから、
俺は好きなのかもしれない。
どんな人間でも対等に接してやる。
それはみんなも同じだけど、一番人の事を考えて行動してるのは諺奈だと俺は思う。
「妃妃…?」
ぱちぱちと瞬きを繰り返してノートのわからない場所を指差して俺に見せる。
「おっ悪い悪い…えっとこれは……」
やり方を教えるとパァッと子供みたいな顔するから俺もつられて笑顔になる。
ありがとうって笑って、頑張って勉強をしようとするけど、頭からプシューって火が出たみたいに机に倒れ込んだ。
それなりに中学の頃勉強しなかったのを後悔しているんだと俺は思う。
いつも質問ばっかですーーーーーーーーーーーーーーーーげ、アホだけど。
大事な仲間の1人で、
欠けてはならない存在。
あー…あれだ、あれ。
人生の友、ってやつ?
ぜってー言ってやんねーけどな。