ヘタレヒーロー

□それまでずっと一緒にいよう
1ページ/2ページ




冬の朝は寒くて、布団の中で丸くなる。
そんなあたしに悪魔の手が忍び寄った。


バシッと頭をしばいてきたのは中学から一緒のバカ男子。


「こーら!寝ぼすけ起きろっ!」


「いったぁ…」


ガバッと布団をめくって悪戯っ子の様に笑う弓治に抱きしめていた枕をほり投げた。


「ってぇー!!お前これが起こしにきてくれた人にする態度かよ!!」


「べー、だ!!寒いんだよバカっ!」


「あっ?!言いやがったなこの男女!!」


弓治と言い合いながら枕の投げ合いをしていたら急にあたしの部屋の扉が開いた。



ボスッ


「「あ…」」



二人して声を漏らす。

枕を投げられた張本人は自分の体に当たって落ちた枕を拾って笑顔で言い放った。



「二人とも朝飯抜き」



分かった?なんて優しく言っても目が笑ってない。


こぇぇええ…


「朝ごはん抜きはつらいんですけど?!」


「っていうか俺じゃなくて沙苗が悪いんだっつーの!!」


「口答えしない、何?2人はお弁当もいらないの?」



両親共々忙しいあたしと弓治の朝ごはんとお弁当を作ってくれている涙がお弁当をちらつかせた。


「いりますっ!!」



弓治がお弁当に飛びつこうとした瞬間ひょいっと涙は避けて一階のリビングへむかった。


「くっそー…お弁当食べれなかったら沙苗のせいだからな…」


悲しそうにその場にしゃがみこむ弓治にむっとした。


「別にいいじゃんっ!」


「おまっ俺の午後の生死に関わんだぞ!!」


「…作ってもらえばいいだろっ!!」


「誰にだよ」


「………最近出来たか〜んわい〜彼女」


3日前から弓治には彼女が出来た。
しかも学年一人気の女の子。


あたしとは大違いのほんわかとした可愛い女の子。

 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ