「しつこいわね。だから行かないって言ってるでしょ」
「いいじゃねェか、少しくらい付き合えよ」
「その顔じゃ女に飢えるのもわかるけど、あいにくあんた達に割く時間は一秒たりともないの。他をあたって」
「てめェ、下手に出てりゃいい気になりやがって…!」
男の怒鳴り声にそちらを見れば、3人の男が1人の女を取り囲んでいるのが視界に入る。
いかにも荒くれ者ですという風情の男達に周りの人間は誰もかれも見て見ぬふりだ。
女はなかなか気が強いようで、がっしりした体形の男が声を荒げようと、怯えるどころかさもうっとうしいと言いたげな声音だ。
「大人しくついてくるならさっきの言葉は聞かなかったことにしてやる」
「連れを捜さないといけないの。さっさとどいてくれる?」
「おいおい、発言には気をつけろよ。自分の状況わかってんのか?」
「もう一回だけ言うわ。どいて」
「てめェッ…!!」
「女1人に大の男が3人寄ってたかって…恥ずかしいねェ」
「なっ…!?」
「なんだてめェはっ!!」
背後から銃を突き付ければ途端にうろたえる男達。
これぐらいで動揺してるようじゃ底が知れるってもんだ。
まさに見かけ倒しだな。
「おっと、ムダな抵抗はやめとけ。おれの腕は2本しかないが、3人相手にするくらいなんてことないぜ」
銃を向けていない1人が動く気配を見せたので先に釘をさしておく。