「witness ‐目撃者‐」



「そういえば、商品の整理があるんだよなぁ…。」
 支配人になって数ヶ月、支配人の仕事をこなしながらも雑用もこなす、
 スーパー支配人こと大神一郎は深いため息をついた。
 モギリの仕事でさえ一杯一杯だったのに、支配人になるとますます大変になる。
 夏なのでさらに体力を奪われ、さすがに身体がこたえているようだ。
「大神さ〜ん!商品届きました〜!」
 椿の元気一杯の声が聞こえてくる。
「(早々に片付けるか。)」
 大神はそう考えながら売店へ向かった。

「ごめんなさい、大神さん!」
 大神は着くや否や椿に謝られた。
「え?何だい急に。」
「実は、私これから仕事があるんで手伝えないんです。」
「い、いいよそれくらい。俺が全部やっておくよ。」
「本当にごめんなさい。後お願いします!」
 そう言って、椿は走って行った。
「…まいったなぁ、仕方ないか。」
 大神はまたため息をついた。

「(今回はブロマイドの種類が多いな。)」
 そう考えながら、大神は一つずつ整理していった。
「(これがさくらくんの分。)」
 大神はさくらのブロマイドを並べた。
 さくらの黒い髪が夏の日差しに眩しく輝いている。
「(こっちがマリアの分、アイリス、紅蘭、カンナ、織姫くん…と。)」
 順に並べたブロマイドの中の彼女たちは、どれも眩しい。
「(皆楽しそうだな。すみれくんがいないのが残念だけど…。)」
 大神は箱に手を伸ばし、次のブロマイドを手に取った。
「(次はレニだな…)うおっ!」
 驚きのあまり声が漏れてしまった。
 レニにしては珍しい格好のブロマイドがいくつか出てきた。
「か、かわいい…。」
 無意識に出てしまった言葉だが、それをある二人に聞かれていた。

 さくらと紅蘭が食事のために二階から降りてきていた。
 レニのブロマイドに没頭している大神はそのことに気づかなかった。
「大神はん、今『かわいい』て言うたよな?」
「ええ。何か見てるみたいね。」
「はは〜ん。あれはブロマイドやな。しかもレニの!」
 紅蘭がメガネを光らせた。
「どうしてわかるの?」
 不思議そうにさくらが訊く。
「もうブロマイドがあんなに並べてあるし、順番的に言うとレニは最後や。
 そもそもレニしかおらんやろ。」
「なるほど。」
「あないな調子やと大神はん、食事に来ーへんのとちゃう?」
「あ、レニに呼びに行かせるってことね?」
「大当たり!ほな行くで!」
 浮かれている大神をよそに、さくらと紅蘭は足早に食堂へ向かった。


「あ、レニがいるわ。レニー!」
 イスに座ろうとしたレニがさくらと紅蘭に引き止められた。
「どうしたの?」
「ちょっとな〜。大神はん売店におるんやけど、呼びに行ってくれへんかな?」
「ボクが?どうして…。」
 怪訝そうにレニが訊く。
「え〜っと、大神さんがレニに来てほしいって…。」
「…わかった。」
 そう言ってレニは売店へ向かった。
「一体どうしたんで〜すか?」
 織姫が興味深げに訊いてきた。
「今、大神はんレニのブロマイド見てんねん。」
「ブロマイド?ああ、新作ブロマイドの整理ね。」
「それがどうしたの?何かあったの?」
 マリアもアイリスも何気に興味があるみたいだ。
「大神さん、『かわいい』って言ってたんです。」
「うひゃー、だからレニに行けって言ってたのか。やるな二人とも。」
 カンナも面白そうだ。
 早速六人は様子を見に行った。

「(隊長、何か用事でもあるのかな?)」
 そう考えながら歩いていると大神の声が聞こえてきた。
 相変わらずレニには気づかない大神。
「このヒラヒラの服も似合ってる。この紺の服も、水着姿もかわい―」
「隊長。」
「うわぁっ、レニ!?」
 大神は慌ててレニのブロマイドを箱に戻そうとした。

「ああっ!」
 しかし、慌てていたせいで一枚踏んづけてしまった。
「大神さん、整理終わりましたか?」
 仕事を終えた椿が戻ってきた。
「…それ踏んじゃったんですか?」
 折れたブロマイドを指差しながら言った。
「ごめん…。これ、もらっていいかな?」
「いいですよ。商品にならないし、大神さんがもらったくれるなら。」
「ありがとう。…ところでレニ、どうしてここに?」
「え?あ、もう昼食だから…。」
 ふいに話を向けられたレニは一瞬困惑した。
「もうそんな時間か。でもまだ整理が…。」
「いいですよ。後は私がやりますから。大神さん、ありがとうございました。」
 椿にそう言われ、大神はレニと食堂に向かうことにした。
「み、皆何をしているんだい!?」
 角を曲がるとそこにさくらたちがいた。
「お、大神はん遅いな〜と思て…なぁ?」
「そ、そうですよ。早くごはん食べましょう!」
 そう言われるまま食堂で食事をすることになった。
「失敗やったなぁ…次はどないしよう?」
「え?まだやるの?」

 食後、大神は中庭にいた。
 折れたレニの水着ブロマイドを眺めていた。
「はぁ…、水着…か。暑いしプールにでも入ろうかな。」
 そして大神は地下へ降りていった。
「あ、隊長。」
 プールにはレニがいた。
「訓練かい?」
「うん。」
 大神はレニをみた。
「(やっぱりかわいいな…。)」
「隊長、どうしたの?」
「いや、かわいいなと思って。」
「え?」
 思わぬ言葉にレニは顔が赤くなった。
「実はレニのブロマイドを見ていたんだけど、急にレニが現れてね。本当にビックリしたよ。」
「でも踏んづけた。」
「いいっ!?でも、あれ大切にするから!」
「うん。」
「よし、じゃあ泳ごうか!」
「了解!」
 二人は泳ぎ始めた。『おジョーズ』開始。

 さくらと紅蘭はプールを覗き込んでいた。
「なんや、何もせんでも上手くいっとるやん。」
「えへへ、私たちおジャマみたいね。」
 二人は互いに笑いながらプールを後にした。

 レニと大神、二人きりのヒトトキです。

「ぐわっ!」
 機雷が爆発した。
「隊長、大丈夫?」




 あとがき
まず、売店はお休みというコトで。
夏設定なのに…頑張ってさくらと紅蘭夏服にしたのに…
レニ冬服にしてしまった〜〜ッ(T△T;
でも描き直さない、描き直せない自分が悔しい;;

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