「戌」



 正月。
 レニはアイリスと一緒に、中庭で日向ぼっこをしていた。
「ワンワン!」
 そこへフントがやって来た。
「フントってレニのこと大好きなんだよね?」
「ワン!」
 フントは即答した。
「わ〜、お返事した〜!いい子いい子♪」
「ワン!」
「今年は戌年だから、レニがいっぱい遊んでくれるんだって〜。」
「ワンワン!」
 フントは嬉しそうに鳴いた。
「(…言ってないけど…)」
「でもさー、どーしてクマ年がないのかなー?ジャンポールかわいそう。」
 現在ジャンポールはアイリスの部屋で休憩中。
「…仕方ないよ。昔中国で決められたことなんだから。」
 レニは優しくそう答え、フントの頭に手をやった。
「フント、今年もよろしく。」
 レニは新年の挨拶をした。
「ワン!」
「うわぁ!」
 フントはレニに飛びつき、キスをした。
「あ〜〜!レニとフントがキス〜〜〜!」
 アイリスは楽しそうにはしゃいだ。
「フント、くすぐったいよ…ハハハ。」
 フント、なめ回し攻撃中。

 そんな時、一人の青年がアイリスの言葉を聞き硬直していた。
 そう、我らが大神一郎だ。
「(レニが…キス!?)」
 フントと、が抜けている。
 その瞬間、大神は急いでレニの元へ突っ走った。
「レニ!!」
「隊長?」
「どーしたの?お兄ちゃん。そんな怖い顔して。」
 大神の顔は青白く引きつっていた。
 大神はレニの腕を勢いよく掴み、
「だ、誰とキスをしたんだ!?む、無理やりさせられたのか!?一体誰なん―」
「隊長、痛い。」
「あ、ゴメン。」
 大神は罰が悪そうに手を放した。
「フントだよ。」
「えっ…?」
「フントがレニにキスしたんだよー。」
「え…??」
 大神は目を丸くし、さらに顔まで真っ赤になった。
「そ、そーなのか、俺はてっきり…。そ、それじゃあ俺はこれで!」
 逃げた。
「変なお兄ちゃん。」
 ごもっともな意見です。
「……。」
「でも良かったねv」
「何が?」
「お兄ちゃん、レニのこととっても心配してくれてるんだよ。お兄ちゃんもレニのこと大好きなんだね!」
 アイリスは無邪気にそう言ったが、その言葉にレニは顔を赤くした。
「キャハハ!レニ顔真っ赤〜!」
「ア、アイリス、やめてよ…。」
「でもお兄ちゃん『キス』って言葉にすごく反応してたよね。」
「……。」
「したことある?」
 アイリスは唇に指を当てながら言った。
「ない。」
 レニはさらに顔を赤くした。
 思考回路がショート気味なので一言でしか返せない。
「レニ可愛い〜v恋人同士はキスするものだよv」
 アイリスはさすがに大胆だ。
 それから二人は無言のまま、それぞれの部屋へ戻った。

「よし…二人は行ったな。」
 その頃大神は中庭にいた。
「さぁフント、俺にも…キスをしてくれ!」
 フントを間に、レニとの間接キスを目指すあわれな中尉さんの図。
「さぁフ…ント?」
  ベシッ!
 フントは大神の顔面にシッポビンタを喰らわせた。
 フントもオスである、当然といえば当然だ。
 そのままフントは犬小屋へ帰っていった。
「大神くん」
「うわあぁ!!かっ、かえでさん!?」
 突然の呼びかけに大神は尻餅をついた。
「大丈夫?あ、そうそう。活動写真のチケット、2枚手に入ったんだけど…いる?」
 かえではイタズラに笑い、大神に2枚のチケットを見せた。
「(レニとデートをするチャンスだ!)…はい!喜んで頂きます!!」
「そう、レニを誘ってみるの?」
「え?あ、そーですね…。」
 かえでの思わぬ一言に、大神は顔を赤くした。

 大神は、レニをデートに誘い、一緒に活動写真を観に行った。
 そして――

 レニをデートに誘った大神の最大の目的は、レニとのキス。
 しかしまだ、その一歩を踏み出せずにいた。
「(こんなに好きなのに…)」
「隊長、どうしたの?」
「いや、何でもないよ。」
「そう。」
 活動写真を観終わって、二人は上野公園へ足を運んでいた。
 レニの脳裏に、先日のアイリスの言葉がよみがえる。
「…隊長。」
「何?…!」
 レニは大神にキスをした。もちろん口に。
「隊長の誕生日プレゼント…まだだったから。」
「〜〜!」
 二人とも顔を真っ赤にしている。
 大神の喜びが測り知れないのは言うまでもない。

「隊長、心配しないで。ボクは…ボクは隊長の―」
 恥ずかしくて先の言葉がいえない。
「そうだったな、レニは俺の恋人だ。」
 レニは無言でうなずいた。
「…レニ、そろそろ帰ろうか。」
 そう言って大神はレニの手を取った。
「うん。」

 かえでの作戦成功。




 あとがき
小説か…?前回と全てが違う!
やっぱり人様に公開するのは気が引ける…(するなとツッコミはなし)
タイトルは関係ありません。戌年って1922、1934年くらいだしね;
普通初詣とかだよね?(でも2であったし)
しかも正月早々活動写真てしてるのかしら?しかもデート内容割愛しすぎ;;
大神さん…前回と違いすぎる;; ただの『変態』か?!(ヤだ;;)
またしても違った妄想に逝っちゃってます;;
コレも自習中に考えた。さすがに今回ニヤけまくりデスよ;;
あぶねーなァ

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