「同じ空の下で」



 季節は夏になる少し前、梅雨だ。
 日本の気候上、ジメジメとした嫌な時期だ。

 今日は朝から雨。
 雨足も一層強くなり、風も出てきているようだ。
「こんな時に限って買い出しだからなぁ……。」
 サロンから外を眺めていた大神はつぶやいた。
 買い出しの内容はいつもと同じ、アイリスやカンナのお菓子が主である。
 さらに重くなった足取りで、大神は玄関へ向かった。

「隊長!」
 玄関を出ようとすると、大神は誰かに呼ばれた。
 振り返るとレニがいた。
「…レニ、どうかしたのかい?」
「隊長は…買い出し?」
「そうだけど…。追加注文か何かかい?」
 大神は内心「やめてほしい」と思いながらも聞いてみた。
「ボクもついて行く。」
「……え!?」
 追加注文だと思っていた大神は驚いた。
「フントのエサが残り少なくなってきたから買いに行かなくちゃならないんだ。隊長、一緒に行ってもいいよね?」
 当然、大神にこの申し出を断れるはずがない。
 こうして大神はレニと一緒に行くことになった。

「あれ?」
 傘が見つからない。
「レニ、見つからないけど…どうしようか?」
 大神は傘を探すのをあきらめた。
「どうしてないんだろうね。このままじゃこの1本で行くしかないんだけど…。」
 レニは唯一あった傘を見て言った。
「俺はかまわないよ、レニさえ良ければね。」
「うん…じゃあ行こう、隊長。」
 あんなに嫌だった雨の買い出しが、レニと一緒に、しかも1本の傘で出かけられることに、大神は胸が躍った。
 そして2人は雨の中買い物に出かけた。

「…なんだか寒いね。」
「風があるからな。寒かったら、くっついていればいいんじゃないかな?」
「!?……隊長、時々大胆なこと言うね。」
 レニは目を丸くした。
「そ、そうかい?だってそうした方が……。」
 大神は慌てた。
「…そうだね。」
 レニは頬を少し赤らめて、大神に寄り添って歩いた。
「……………。」
 そのまま2人は頬を染めて、無言で歩いて行った。

 店に着くとまず雑貨などを買い、その後に食料品売り場へ向かった。
「フ、フントって…いつもこれを食べてるのかい?」
「そうだよ?」
 大神の驚きがレニにはわからないようだ。
「最近これが好きみたいなんだ。」
「…って、一番安いものの倍以上じゃないか!」
 レニが手に取っているものは有名な高級ペットフードである。
「フントには健康でいてほしいしね。皆の了解は得ているから大丈夫だよ。」
 フントは帝劇の皆に可愛がられているようだ、……大神が思うよりも。
 何だか大神は負けた気分になった。

 大半がお菓子である他の食料品を買って、2人は店を出た。
「雨があがったんだ…。」
 激しく降っていた雨がすっかりやんで晴れていた。
「晴れてよかったね、隊長。」
「そ、そうだね。」
 帰りもレニとあいあい傘をしたかった大神は苦笑した。
「あ、隊長!虹が見えるよ!」
 レニに言われ空を見上げると、きれいな虹がかかっていた。
「……………。」
 虹を見ていると、大神の沈んだ気持ちが少し軽くなった。
「レニ、帝劇に帰ろうか。」
「うん!」

 雨上がりの虹のかかっている空の下、2人は歩き出した。
「隊長…。」
「何だい?」
「…ボクたちに傘なんて必要ないよ。」
 そう言って、レニは大神に寄り添った。
「え、レニ!?」
 大神は真っ赤になった。
 レニはそんな大神に、照れた笑みで返した。
 また2人は無言になったが、今度は自然に手をつないでいた。
 そして大神とレニは短い帰路を満喫した。




 あとがき
7000hit
Tamaiさんに捧げます「大神とレニのあいあい傘」

すみません、「あいあい傘」がメインじゃなくなっちゃいました;;

どうして傘が無くなったんだろう(笑)
そしてくっついて歩く…って?
…フントはご愛嬌(ぇ)

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