『ボクにとっての宝物』



 12月24日、クリスマス イヴであり、またボクの誕生日でもある。
 隊長は昨日から会議に出かけていて明日まで帰ってこない。
 隊長がいないなんて…つまらないよ。
「会議なんてなければ良かったのに…。」
 どうしてこんな日に限ってあるのだろう。

 夜は毎年のように、皆がボクのために誕生日会を開いてくれた。
 「奇跡の鐘」の打ち上げとクリスマスを兼ねていても、それは嬉しい。
「レニ、お誕生日おめでとう〜!!」
 ボクが部屋に入ると皆が一斉にクラッカーをならす。

 いつも思う。
 『幸せ』とは何だろうと。

「レニ〜、はいこれ。」
 アイリスがボクにプレゼントを渡してくれた。
 袋を開けると、犬のぬいぐるみと手編みのマフラーと手袋だ。
「アイリスがねぇ、ぬいぐるみと毛糸を選んだんだよ♪」
「アイリスが選んだ毛糸であたしが編んだの。レニはマフラー似合うもの。」
 アイリスとさくらが笑顔で祝ってくれている。
「ありがとう、アイリス、さくら。」
 ボクも笑顔で答えた。
「次はあたいたちだ。レニ、これ受け取ってくれよな。」
 カンナから箱を受け取った。中身は食べ物だ。
「ドイツのバウムクーヘンってケーキだよ。」
「ドイツの…。」
 そのケーキを眺めるボク。祖国か…。
「ちょいとカンナさん!カンナさんからだけのプレゼントじゃありませんことよ!それにケーキがあるのにケーキを渡すなんて非常識ですわ。」
 今年はすみれも参加してくれたみたいだ。
 すみれとカンナの言い争いがまた始まる。
「何ぃ?レニへのプレゼントだって知っていながらそれを取り寄せたのはどこのどいつだよ!」
「あら、わたくしがいなければ何も出来ない人が言うことではありませんわ!」
「何だとぉ!?大体なぁ、お前が―!」
「もう、相変わらずね。はい、レニ、これは私からよ。」
 カンナとすみれのやり取りを無視するかのようにマリアがプレゼントを渡してくれる。
 小さい箱だ。開けてみると…
「髪留め?」
 ボクは驚いた。ボクに…髪留めを?
「そうよ、レニも前より髪が伸びてるもの。髪留めだって必要でしょ?」
 確かに、以前に比べて髪が伸びている。
 でも髪留めなんて…。
「1つくらい持っていても損はないわ。レニにだって似合うわよ。」
 マリアがそう言って微笑んでくれた。
 ボクに…似合うかな。
「だからうるさいんだよ、サボテン女!」
「何ですって?!頭も筋肉で出来ている怪力女に言われたくありませんわ!」
 まだやってる。
「あーもう!うるさいのはそっちでーす!!」
 織姫が2人の言い争いを強制終了させた。
「次はわたしの番ですね〜。レニにはこれがピッタリで〜す!」
 そんな織姫に渡されたものは派手なドレスだ。
 恐らく自分用に購入したが結局一度も使用しなかったものだろう。
「これで、中尉さんもイチコロで〜す!」
 隊長は……隊長は…、今日は帰ってこないんだ。
「ふっふっふっふ…。」
 俯いていたボクの前で笑い声が聞こえてくる。
 顔を上げると、ボクの前に紅蘭がいた。
「今大神はんのこと考えとったんやろ?そんなレニのために……コレや!!」
 紅蘭が取り出したものは小さな箱型のような機械だ。
 アンテナみたいなものがついているようだ。
「…何?」
 ボクは紅蘭に訊ねる。
「よぉ聞いときや。これはな『わかるくん』って言ってな、今強く考えてる人が近づいたら反応してくれるんや!」
「強く考えてる人?」
 意味がわからず復唱する。
「そうや、今レニが強く想ってる人が近づいたらこれが反応してくれるんや。便利やろ?」
「…隊長が傍にいると反応するの?」
 無意識にそう返してしまった。
「はははは!レニが無防備に大神はんのこと言うとは思わんかったで!」
「あ……。」
 紅蘭と他の皆の笑い声に自分の言ったことに後悔した。
「近くにいたら反応してくれる。レニ、これはうちからのプレゼントや。」
 紅蘭がその機械を渡してくれた。
「うん、ありがとう。」

 皆がボクのために用意してくれたプレゼント。ボクのために。
 こんな仲間たちがいるのがとても嬉しい。
 皆がボクを今のボクにしてくれたんだ。

 でも何か足りない。
 隊長から、まだ何も言ってもらってない。隊長に…会ってない。
 隊長に会いたい。

 宴会はまだ続いているけど、ボクは1人外へ出た。
 中庭に行くと、フントはもう寝てしまっているようだ。
「メリークリスマス、フント。」
 ボクはベンチに腰掛けた。
 空を仰ぐと綺麗な星々が見える。
「こんな星空のもとで……。」
 隊長と初めて会った年…教会に行ったことを思い出した。
 今年はホワイトクリスマスじゃないんだ…。

 部屋に戻ると宴会が終わっていた。
 もう0時を過ぎている。ボクの誕生日は昨日だったのか。
 片付けは朝にすることにし、各自自室に戻っていった。
 ボクも仕方なくプレゼントを持って自室に戻った。
 何となく眠れなかったボクは、皆からもらったものを試着したりしていた。


 まだ夜中だろうか、聞きなれない音でボクは目覚めた。
 手元にあったもの、紅蘭からもらった『わかるくん』が反応している。
 強く想ってる人が近くにいないと反応しないはずなのに?

 コンコン
「レニ、起きてるかい?」

 隊長の声が聞こえる。
 まさか…。
 ボクは何も考えずにドアのそばに駆け寄りドアを開けた。
「隊長!?」
「レニ、遅れてごめんよ。…どうしたんだい?その格好は…。」
 隊長は目を丸くした。
 ムリもない、ボクは髪留めをしドレス姿のままだった。
 色々試着して、着替えないまま寝てしまったらしい。
「あ…、これは皆からもらったんだ…。」
 一気に顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。
「あの…、隊長はどうしてここに?会議はまだ終わってないんじゃ…。」
「早めにね、終わってもらったんだ。でもレニの誕生日に間に合わなかった。」
「…でも…早く隊長に会えてボクは嬉しい。」
 何も考えずにボクは隊長に抱きついた。
 離れていたくない、ずっと傍にいたい。
「レニ、遅くなったけど誕生日おめでとう。プレゼントは花だけど…いいかな?」
 隊長は後ろに隠していた花束を渡してくれた。
「ありがとう、隊長。ボクは気持ちが大切だと思うから。隊長がくれたものなら…。」
「うん。レニ……」
「何?」
「とってもキレイだよ。」
 隊長が真っ直ぐにボクを見てくれている。吸い込まれそうだ。
 恥ずかしいけど嬉しい。嬉しい方が大きいかな。
 ボクは照れくさくて、隊長の顔を見ないで済むようにもう一度抱きついた。
「ありがとう、隊長。」

 『幸せ』それは言葉で簡単に表せるものじゃない。
 気持ちが、想いが大切なんだと、想い1つで変わるものだとボクは思う。
 ボクの幸せはずっと傍にある。


 隊長から花を受け取って、着替えてからボクは寝た。
 そして、隊長が帰ってきてから鳴りっぱなしだった 『わかるくん』は、朝起きたら爆発していた。




 あとがき
ありきたりなモノで、しかも未熟者ですが、私的控えめ(?)甘々を目指しました。
たいしたこと言ってなくてすみません(x_x)
レニ、お誕生日おめでとう!!
聖誕祭用。一部加筆しています。

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