TOS小説
□鮮血の笑顔
―――――目の前が、赤く染まる。
全身の力が抜けて、頭の中が一気に真っ白になっていく。
これは・・・なんだろ?
今まで味わったことのない感じ。
視界が緩く、薄く霞む。
足元の魔方陣が薄れていくのが解る。
唇が詠唱の言葉を紡がない。
言葉が喉の奥に詰まっている感じ。
口の中に、嫌な赤味が広がる。
言葉の代わりに、身体の異常を伝える鮮血が吐き出される。
染まる。
染まっていく。
目の前の世界が赤く、暗く染まるほど、立っていることすらできなくなっていく。
身体の力が抜けて、言葉を発することもできなくて。
自分の名を叫ぶ声は聞こえているのに、呼び返すことが・・・できなくて。
ボクは・・・どうなったんだろ?
あぁ・・・そっか・・・。
ボクは、詠唱に集中しすぎてたせいで、周りの状況を完璧には把握できなくて、それで・・・
すぐ後ろに敵が迫ってきていたことに、直前まで気づかなかったんだ。
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