honey moon shotstory
□MとAの会話:アナザー
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―ある日の昼間。
一通の手紙が届いた。
届けてきたのは美しい白と灰色の羽を持つ梟。
瞳は金色に輝き、嘴も頑丈そうな足も爪も立派なもので。
翼の一部が、銀色の光を帯びていて、それで始めて気付いた。
この梟が誰からの手紙を持ってきたかということに。
「クンツァイト、梟を睨みつけるなんてどうかしてるよ」
暫く睨み合うかのように視線を向けていると、はた、と。
ゾイサイトが呆れたかのように餌を持ってきて、梟を腕に乗っけていた。
傷をつけるなと主人に命令でもされているのか、大人しく腕に乗っかり翼を広げてミミズだかなんだかのものでも食べている。
立派なその姿は、数度見たあの白銀の戦士を連想させる。
「別に睨んでいたわけじゃない。ただこの手紙の送り主が誰か、ようやく思い出しただけだ」
「一度見たら忘れられないようなあの戦士を忘れてたのかい?」
「いや、あの者が此方にコンタクトを取る事が、そもそも少ない。
だからこの梟が、どの主に手紙を持ってくるよう言われたのか、見当をつけるのが遅くなった」
「主人と同じ白銀の輝く梟は早々居ないから、思ったよりは早く思い出せただろう?」
「ああ。しかし、立派な梟だ」
「頭がいいんだよ、僕の腕も肌も傷つけることがない。
羽が頬を掠めることもないいし、餌をもらうときだって丁寧に静かにだ。
教育がいいのかもしれない。…あ、王子には言わないようにね」
「わかってる。こんな立派な梟、王子に話したら会いたがってしまう」
きっと王子は―マスターは、いい歳になったというのに、瞳を輝かせ頬を紅く染め、うずうずと見たいみたいと言い出すに決まっている。
普段はとても落ち着いていて大人びているが、やはり17過ぎのまだ成人には遠い歳だと子供の部分がある。