玩ばれる人形
□13.
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―マカオ救出から次の日
シオンと牙狼はルーシィの家の前で立ち往生していた。
彼女達を朝早くから引っ張ってきたナツ達ももう中にいる。
「…完全な不法侵入だな」
「……どうしよ」
「放って置け。
風呂から出てきて早々ルーシィが怒るのは目に見えている」
その時、中からゴシャッ!!!という音が2人の耳に入った。
「ほらな」
「うん…」
「シオン、いい加減ベルを押せ。
何時までも突っ立っているとこっちが不審者だ」
「はーい」
牙狼の催促にシオンはベルを鳴らした。
††
シオン達がルーシィの家に立ち往生していた頃――
家の中では、シオン達を引っ張ってきた本人達、ナツとハッピーが色々とルーシィを困らせていた。
「ん?何だコレ」
「!!!
ダメェ――!!!!」
机の上に何かが書かれた紙の束を見つけ、手に取ったナツからそれをルーシィは素早い動きを奪い返すと彼から守るように腕の中に抱き込んだ。
「何か気になるな。何だ、ソレ」
「何でもいいでしょ!!
てか、もう帰ってよ――っ!!!」
「やだよ、遊びに来たんだし」
「超勝手!!!」
どう言っても帰る気がないナツにルーシィは追い返す事を諦め、紅茶くらい出そうと立ち上がった時、玄関からまだ聞き慣れないベルの音が聞こえた。
「誰かしら?」
此処に来たばかりだから知っている人はまだ少ないはず。
ルーシィは疑問に思いながら急いで服を着ると早足で玄関へと向かい、ドアを開けた。
「遅い」
「おはよ…ルーシィ」
「シオン、牙狼!おはよう、どうしたの?」
予想していなかった2人にルーシィはきょとんっと目を丸くする。
そんなルーシィの耳にさっき不法侵入してきた2人の声が入った。
「お、やっと入って来たか!」
「遅いよー、2人ともー」
「え、どういう事?」
「…ナツ達に、引っ張られてきて…」
「流石に不法侵入はダメだと思い、家の前にいたんだ」
「…この2人はまともで良かった…!」
「…後、家見つかったお祝い」
そう言いながら、すっと差し出された箱にルーシィは目を輝かせる。
「ありがとう、シオン!」
「ん、簡単な物しか作れなかったけど…」
「いいのいいの!これ、開けて見てもいい?」
「ん」
シオンから箱を受け取り、そっと箱の蓋を開ける。
「わぁ…!透明で綺麗ー!ねぇ、これ何てお菓子?」
「…水饅頭っていう、和菓子」
「え、和菓子って、東洋のお菓子の事でしょ!?
シオン、作れるの!?」
「材料があればな」
「わぁ!凄いじゃない!」
「…え、と、口に合えばいいけど…」
「合う!合うに決まってるじゃない!!」
ルーシィはもう一度「ありがとう!」と満面の笑みを見せると、いつの間にか足元にいたハッピーが不満そうに声を上げた。
「いーなー、ルーシィ。
シオンの和菓子って美味しいから、オイラも食べたい」
「ダメに決まってるでしょ!
これはシオンにくれた物なんだから!!
あ、シオン達も上がっていって。
丁度今、お茶入れようとしてた所なの」
「…いいの?」
「ナツもいるのに、迷惑だろう」
「ううん、全然!!シオン達なら大歓迎!!!」
「うわー、ルーシィ贔屓だー!」
「酷ぇな、お前」
「煩い!シオン達はいいの!」