玩ばれる人形
□08.
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傷口から血を流しながら、力なく倒れるシオン。
意識を失ったのにも関わらず、彼女の体に纏わり付く闇と光は消える気配はない。
「シオン!!」
「おい、しっかりしろ!!」
「っ、マスター!」
「…これは…!」
彼女に駆け寄るナツ達。
マカロフは彼女と彼女に纏わり付く闇と光に思わず眉を寄せた。
「クソ、何だよこれ!これが邪魔で近寄れねぇ…!」
「グレイ!お前の魔法で凍らせる事は出来ねぇのかよ!?」
「〜っ無理だ!」
グレイは凍らせようとするが、それは弾かれてしまう。
「いざという時に役に立たねぇな、変態野郎!」
「あ゛ぁ!?何だと!」
「落ち着け、2人共!今はそれどころではないだろう!
…マスター、何とかする方法はないのですか?」
「うぅむ…」
「じっちゃん!」
「………無理じゃ。
シオンの体に纏わり付く力がどんな魔法も弾いてしまう」
「何だよ、それ!」
グッと拳を悔しそうに握り締めるナツ達。
するとマカロフは牙狼へ視線を向けると、口を開いた。
「牙狼、1つ聞こう。
何でシオンはこの状態になった」
「おい、じいさん。犬に聞いても…」
「…食ったんだ」
「!? 犬が喋った!?」
「言っとくが、俺は犬じゃなくて狼だ」
ギロッとグレイを睨む牙狼にナツ達は驚きに目を丸くして、ぽかんっとしている。
「…食ったとは、どういう事じゃ」
マカロフの問いに牙狼は答えた。
「……光闇の魔水晶を、食ったんだ」
「! 何と!?」
マカロフは目を見開いた後、深刻そうにシオンを見た。
「光闇の魔水晶は対となっている闇と光の、強力な力を持っている魔水晶じゃぞ!
食ったら、反発し合う力に体が耐え切れなくなり即死するも当然じゃ!!」
「は!?」
「な、…!?」
「それって死ぬって事か!?」
ナツの問いにマカロフは頷いた。
「今、こうして息をしているのも、体を保っているられるのも有り得ない事なのじゃ…」
「っじゃあ、シオンを何とかする方法は…!」
「……」
「頼むよ、じっちゃん!コイツを直してくれ!!」
「じいさん、俺からも頼む!」
「私からもです!」
「……っ」
目を瞑り、ぎゅっと拳を握り締めるマカロフは重々しく口を開く。
「無、理じゃ…」
「え…」
「食べた以上、シオンからこの魔力を取り除ける方法は…」
「あるぜ、俺なら出来る事だ」
誰かの声が響き渡った。