不純な血
□ 三章
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私はきっと、
彼女に本を渡した時には、既に狂ってしまって居たのだろう。
さもなくば、変わってしまったのだ…
でなければ、あんな行動に出るはずが無い。
でも不思議と後悔はしていなかった。
あの花束に気付かされた私の確信
それは「独占」だった。
誰の眼にも触れさせず、触らせない。私の私物として傍に置こう
あの時の、あのままの彼女を…
私は孤独が恐ろしくなっていた。
しかし他人とは関わりたくない。
繋がりを持たれる事も、私を勝手に記憶される事も許せなかった。
だったら喋ることも、動くことも出来ない人を 傍に置けば良いのだと、私は思った。
故に今、私は彼女を解体している。
人体の保存など、私には容易なことだ。
まだ生きている両親から贈られる本には、人体に関する本が幾つも含まれている。
私は彼女の口元から手を退けた。
そして謝罪と、感謝の意を示す。
「ごめんなさい。…それから有難う。これから、よろしくお願いしますね。」
工具箱から探り出した目当てのものを右手に握りなおし、高く振りかざした。
喉元からくつくつと自嘲じみた笑い声が漏れる。
生きている彼女とは、もうこれで終わりなのだと、そう思った瞬間。
彼女と目線が重なった…
胸の中で何かが軋んだ。