不純な血

□ 二章
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−−−−…


私は暖かな陽光の下で、
本を片手に立ち尽くし

眺めていた。




一面のあおい草原に、
春先独特の生暖かな風が
周りを取り巻く。






そよ風は若い葉を揺らし、心地の良いざわめきを生んだ。



雪は溶け、植物が芽吹く。




子供達は、冬に遊べなかったもどかしさを一気に晴らすかのように

勢い良く駆け回っていた。



近くの窓から窺う老婆は、そんな子供達へ柔らかな笑みを浮かべる。





此処は広場であった。






一軒家よりも広大な広さを持つ
空き地の様なこの場所は…


良く子供達の遊び場へと化していた





丁度町の中心に有り
この広場を主にして家や建物が
取り囲んでいる様に造られているとも思われた。




薄く晴れ渡る水色の空は、冬の薄暗かった憂いさを感じさせない。



早くも広場には数人ばかりの子供達が輪をなし、無邪気に歌っていた。





私は其れを眺めている。




その広場の端の方に
葉を茂らす一本の木があった。


自然に私の足はそちらへと向かい、根元に腰を下ろす。



子供達が視界に入らない様に体を向けて、膝を折り曲げ、隠れるようにして本をよんだ。






木陰の方がちょうど良い。



私にはたとえ心地の良い陽光だろうと、邪険に扱う。


日光など、そんな輝かしいものに体を照らすぐらいなら、断然日陰のほうが良かった





私の家では全ての部屋のカーテンを閉じる。

微量だろうと、日光を家には入れない。








最近の私は、良くこの場所で本を読むことが日課となっていた。



家に母方の祖父母が泊まりに来ていているからだ。





病院から近い私の家を重宝しているようで、まるで我が家のように扱う。


体調に変化の無い時は、一度も訪ねに来たりなどしない…





因みに、あの老夫婦は体の調子が悪いからと言っては私を扱使う。



人との関係を持ちたくない私は、
仕方なく外に出て来ているのだ。





…理由もなしに、外になど出るはずも無い。








本に没頭していると、突然頭上から声が降ってきた。



  
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