BL
□つよがり
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美しく、
ピアノの旋律が響いて消えた。
すすり泣きが聞こえる。
──終わってしまう。
春と呼ぶにはまだ早すぎる冷たい空気。
体育館を染めた赤と白。
──終わってしまう。
心が、
機能しない。
目許を真っ赤に染めた向日さんを見ても、
珍しく、眠らずに真剣な顔をした芥川さんを見ても、
………何より、
いつもの花束のような華やかな威厳を
一輪挿しのように、
薄い刃のように、
静かに輝かせている跡部さんを見ても。
心が、自分の物じゃないみたいに。
麻痺したように。
何も考えられない。
何も思い出せない。
唯、茫然と、
淡々と繰り返されるそれを見ている。
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