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□電波的な彼女
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その日はどんよりした曇り空だった。学校の帰り道ジュウは雨と向かいあっていた。雨は真剣な表情をしてジュウは戸惑いの顔をしていた。
今、何て言った?
「雨…お前本気か?」
「……申し訳ございません。ジュウ様。私はジュウ様の騎士を続けられなくなりました」
雨は、冗談ではなく本気だ。今までこんな事はなかった。ジュウは雨の表情が髪で見えなかったが本気なのだと気づいた。
「では、失礼します」
雨はジュウに背を向けて歩こうとする。 それをジュウが腕を掴んで止める。
「おい、待てよ…」
この時、ジュウは今までに無いくらい同様していた。「何か?」
「本気…か?」
「はい」
その表情は冷たい物だった。
もしかしたら俺に飽きたのかも知れない。もしかしたらでは無くそうなのだろう。いつかはこんな日が来ると覚悟はしていた。雨との別れ、だがその時は雨が決めた事だからと普通に過ごせると思った。俺に忠誠を誓わなくなっただけで、何も変わらないと
しかし、実際はそんな甘くは無く、ジュウと雨の間に亀裂が走るのを感じた。
ジュウは思った。
嫌だと…思った。
今まで、ごく普通に雨と暮らしていた事が無くなる。
雨は俺と離れればきっと、もっといい生活も出来るだろう。恋人も出来る事もあるだろう。
なら、柔沢ジュウは堕花雨を引き留めてはならないのでは無いのか。
ジュウは雨の腕を離し、何でも無い。悪かった。と言った。
雨は後ろを振り向く時、「今までありがとうございました。ジュウ様」と言った。
その後、雨はゆっくりではあるが走り出した。
ジュウは見送る事しか、ただ小さくなる雨を見ているしか出来なかった。












電波的な彼女/雨の告白
第一章-終わりが来て-









その日、ジュウはずっと部屋にあるベッドでうつぶせになっていた。
考える事は雨の事ばかり。今まで、雨に会ってからの事を振り返っていた。
もう、雨と俺が会うことも少なくなるかも知れない。ジュウの教室と雨のいる教室は遠い場所にある。
これで良かった。いつまでもこんな生活を続けて行けるはずがない。雨といた時間は楽しいかったが、今は過去の出来事。ジュウの人生の中で明るい過去になった。 これで良かった。これでいいと自分に言い聞かせた。



気が付けば寝ていた。目覚めた頃には日が上がり初めており、朝日がジュウの部屋の中に入り始めていた。時計を見る。まだ6時も回ってない。立ち上がりだるい体を制御しながら、ドアに向かう。自分が制服姿に気付き、昨日帰ってきてそのままベッドで寝てしまっていたのかと思い返すと、脳が凄い速さで覚醒していった。昨日の出来事。ジュウには衝撃的で今でも、雨が「ジュウ様、おはようございます」と声をかけて来そうだ。それくらい当たり前になっていた。
雨の存在が、
ドアを開けリビングに行くと人影が見えた。ジュウの母親の柔沢紅香だ。リビングの椅子に腰掛けタバコを吸っていた。紅香がジュウを見つけた時、物凄く嫌な顔を見せ、タバコの灰柄を灰皿にのせた。 紫煙をゆっくりと吐きジュウに目を向けた。
「やっと起きたか、何か作れ、腹が減った」
ジュウも嫌な顔を見せ答えた。 「腹が減ったなら自分で作れ、作れるだろ」 「お前がいるんだ、お前が作ればいい」
何て理屈だ。
ジュウは台所に立ち冷蔵庫からお茶を取り出しコップに注ぐ。
そのコップに入れたお茶を飲もとした時、紅香が「そのお茶、寄越せ」と言った。ジュウが「自分で注げよ」と言うと「早く寄越せ」とジュウをにらみ着けた。
仕方なくジュウはそのコップを紅香に持って行った。
そのコップを受け取りゴクッゴクッと勢いよく飲むとジュウに話しかけた。
「お前、昨日からその格好か?」
「ああ、そうだ」
「汚い…汚い男は嫌われるぞ」
「黙れ」
ジュウもリビングの椅子に座る。紅香とは向かい合わせで座った。
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