携帯獣

□ドラマチック
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「あーもーだりぃ」


コガネの地下通路の奥の更に奥。ラジオ塔の局長を捕まえ、閉じ込めている場所。そこの見張りなわけだが、暇で暇でしょうがない。面白い事が何一つ起きない。


「走ってて暑くねぇの?」
「暑くねぇよ」
「つか何で走ってんの?」
「暇なんだよ」
「それは同意」


だらだらと座り込みながら、うだうだと文句を零す。無駄に走り回る同じしたっぱ。全身黒ずくめで走りこんでいる。見てるこっちは暑苦しい。本当暑苦しい。


「この作戦どう思う?」
「今更なんとも思うんじゃねぇよ」
「サカキ様帰って来てくださるかなー」
「どーだろーなー」
「やる気ないな」
「ひゃひゃ!考えるだけ無駄だってんだよ」
「そうだけど」
「幹部が頭脳してくれてんだから、俺たちゃ考えなくていいんだよ。手足になりゃいいんだから」
「・・・それもそうか」
「そうそ。・・・オイ、何か腹減ったから飯買って来いよ」
「ああん?私をパシろうってのか。いい度胸だ」
「ひゃひゃひゃ!おっかねー。オラ、早く行けよ」
「はいはい。後で金返せよ」
「あいあい」


仕方なく重い腰を上げる。決して体重が重いとかそういうわけじゃないので誤解しないで頂きたい。

奥にある階段を使ってさっさと外に出る。地下に居たせいだろう。太陽光がとても眩しい。



・・・



「お前の事は覚えてるぜ。チョウジじゃ世話になったからな」


やっぱあの人は俺の上司だ。




(高くサイレンが鳴り響く)
(追走劇の始まり)





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