携帯獣

□苦手意識
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「・・・何がどうしてこうなったんですか」
「まぁいいじゃないか。あ、お団子あるよ」
「頂きます」


はむ、っと団子に齧りつく。うん確かに美味しかったけど。どうしてオレがこんな所に居るのか。カントーに居たのに呼び出しを喰らって態々ジョウトまでやってきたのだ。今はリニアのお陰でヤマブキにまでいければコガネまであっという間だ。そこからエンジュに向かうのはそう時間はかからない。


「何か用ですか?マツバさん」
「まぁまぁ」
「まぁまぁ。じゃないですよ!オレにだって都合とかそういうものが、」
「暇だったでしょ。今日は」
「・・・千里眼なんてだいっきらいだ」
「はっきり言うなぁ」
「用があったのならマツバさんが来たらよかったのに」
「ジムリーダーがそんなに簡単にジムを離れる訳には行かないだろう」


そういえば、そうか。別に大丈夫と思ってしまうのはグリーンのせいか。やっぱりグリーンは不良ジムリーダーなんだ。


「というか、僕が行くの面倒だっただけなんだけどね」
「何ですかそれ。・・・やっぱりそうなんですか」
「僕が暇だったし」
「暇潰しにオレを使わないで下さいよ」


がっくりと項垂れる。この人の、こういうところが苦手だったりする。何がしたいのかよく分からない。何を考えているのかもよく分からない。にこやかに浮かんだ笑みはとっても綺麗なんだけど、裏があるような気がしてならない。


「ロコン元気?」
「今はキュウコンですよ」
「そういえばそうだったね」
「元気ですよ。人見知りも大分直ったんです。特にグリーンに懐いてて、羨ましいくらいですよ」
「グリーンって・・・確かトキワジム、ジムリーダーもそんな名前だったよね?」
「そのグリーンですよ」
「知り合いなんだ」
「兄ちゃんですから」


ニッコリ笑って答える。グリーン自慢ならいくらでもするのになぁと思ってる自分がいる。よっぽど酷いのかもしれない。グリーンだから仕方ないか。


「大分憑き物が取れたみたいだね」
「ふぇ?」
「君に見え隠れしていた大きな影は、薄くなった」
「・・・」
「代わりに違う者が見えるよ。そっくりな」
「それ以上言わないでくださいよ」
「あれ?地雷踏んじゃったかな」
「分かってて言ってるでしょ。性質が悪いなマツバさん」
「ありがとう」
「褒めてません!」


うん。マツバさんはやっぱり苦手だ。






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