poke2

□ぼくときみ
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ぼくの名前はピース。ピカチュウだ。ピカチュウは中々珍しい種類であるのは知ってる?棲息地はトキワの森だけど、警戒心が強いのが多いから野生でも、そんなに滅多に会えない種類なんだって。そう教えてもらった。

けどぼくは、たまごから孵った。しかもその時既にトレーナーが居た。ぼくがこの世界で初めてあった人間。ううん、最初にみたものでもある。たまごから孵ったぼくは未だピカチュウじゃなくてピチューだったけどね。今でも忘れないよ。お互い固まっちゃって、硬直状態。ぼくは初めて見る人間にびっくりしてかたまってた。向こうは、なんだろ。たまごが孵った驚きだったのかもしれない。どれくらいそうだったのか分からないけど、ぼくより先に向こうが動いた。

長く息を吐いて「よかった」って。それから「おはよう」だって!すっごくすっごく安心した、って笑顔で。ぼくは何だかすっごく温かい気持ちになった。すっごく嬉しくてさ。だからぼくも同じように言ってみた。初めてあったのに声はね、知ってた。たまごの中からずっと聞いてた。たまごの殻越しより、ずっと温かい手がぼくをだきしめてくれた。ぼくはほっぺたに擦りついた。


「ピース、これからよろしくね?」
「ピチュ!」


即答したよ。だって嫌がる理由が無かったからね。それから連れられてグリーンにーちゃんにあった。グリーンにーちゃんには好印象しかないんだ。だって美味しいものくれたし。ポケモンフーズって言うの。初めて食べたものがそれだった。最初は拙かったブラッシングがうまくなったのもグリーンにーちゃんのおかげ。ナナミさんのテクニックには負けるけど。でね。ぼくはあった事無かったんだけど、お兄さん。レッドだね。あんまりいいイメージは無かった。だって、よく、泣いてた。ぼくが知ってる限りでそれならもっとそうな筈なんだ。涙は悲しいときとか、辛いときに流れるものだと知ってから、ぼくはレッドが許せなかった。グリーンにーちゃんは泣かせたりしないのに、どうしてレッドが泣かせるんだろうって思ってた。グリーンにーちゃんは困ったように笑いながら説明してくれた。


「あの兄妹には溝が出来ちまってる。でも、アイツはレッドの事嫌いなわけじゃねーんだよ。口で言ってるだけ。勿論レッドもな」


ぼくには意味が分からなかったけど、グリーンにーちゃんがそう言うならそうなのかな、っておもった。でもぼくはやっぱり泣いているのを見てイライラしてた。でもある日、泣かなくなった。その日っていうのが、グリーンにーちゃんにバトルを教えてくれるよう頼みに行った日。そりゃ、グリーンにーちゃんもジムの仕事とかあってしょっちゅうじゃなかったけど、それでもぼくらは必死になった。がんばろうって思ってた。ぼくがピチューからピカチュウに進化するのは直ぐだった。

それは、弱音は吐いたよ。ぼくだってもーダメだー!って思うことあった。けど、お互い支え合ってきた。


あのね。誰にも言ってないけど、ぼく決めてるんだ。一生一緒に居て、支えてくんだって。護るんだ、って。







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