poke2

□今宵は踊り明かそうか
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旅は道連れ世は情け。ぶらりと寄った街は、どこか陰鬱な雰囲気を醸し出していた。一体何事だろうと首を傾げると、頭にしがみついていたピースが落ちかけて怒られた。ごめん。ポケモンセンターに行ってジョーイさんに訊ねてみる。すると最近ゴーストポケモンが悪戯ばかりするのだそうだ。食べ物を取ったり、夜道で脅かしてきたり。もともとゴーストポケモンは悪戯好きが多い。だからだろう。しかし街の人からしたらたまったもんじゃない。そういう事らしい。


「お前さん何とかしてくれんか」
「・・・どちら様ですか」
「わしはこの街の住人じゃ。何とかしてくれ」
「何とかって・・・」
「頼む!!」


気が付けば街の人たちに取り囲まれ、お願いされ、頷いていた。

ゴーストポケモン達が住みかにしているのは街外れの洋館。いかにも!な雰囲気にちょっと引いた。コヒユに照らしてもらいながら扉を潜る。タタが緊張感の欠片も無くころころしなが進んでいく。ゴースト技ならタタには効かないし。トイクが居たら大変だっただろうなぁ。


「コン」
「誰だ」
「ピィカ」
「オタッタタッタ」


・・・なんでタタはそんなに楽しそうなんだよ。

前方の扉が軋みながら開く。何が来るかと其方に集中していたら頬に冷たい感触。ベロン、と舌で舐められた、みたい・・・な、


「うわっ!?」
「ピカピ!」
「ゲンガッ!!」
「ゲンガー。っそ、鬼火!」


コヒユの繰り出した鬼火は避けられ、ゲンガーは逃げていく。みんなが心配してくれたから大丈夫だと答える。舐められただけ、被害は無い。タタがこっちだと誘導するような動作をしたのでそれを追った。タタは扉をぱたぱた尻尾で叩く。ドアノブに手をかけ、ゆっくりと開けた。


「・・・なんだ、これ」
「タター!」
「待てこら」
「オタッ!?」


どうやら食堂だったらしく、色とりどりの料理が並んでいる。タタはこの匂いに反応していたようだ。料理にダッシュしようとしたタタの尻尾を掴んで止めたら顔面ダイブした。うん、ごめん。でもお前も悪い。


「ピカッ!」
「コンッ!」


タタを叱っていたらピースとコヒユが同時に鳴く。ハッとして見やれば自分の影が笑っていた。ゲンガーだ!それから壁を擦り抜け、他のゴーストポケモンが集まってくる。ムウマがふよふよ浮きながらニタリと笑った。やばい、かも。


「おに、っ」


身体が、動かない。
金縛りだ。これじゃぁピース達をボールに戻せないし、他の手持ちを出すことも出来ない。非常にまずい。ゴーストポケモン達が一斉に何かを構える。もうダメだ・・・!

パァン!!


「・・・は?」


響いたのは破裂音。ゴーストポケモン達が何故かパーティーグッズの定番であるクラッカーを持っている。呆気に取られていれば、何処からか持ってきたであろう木の看板を掲げて見せた。


「“ハロウィンパーティー”?」
「ムウマー」
「え、じゃぁ、街での悪戯も食べ物を取ったのも、全部この為?」
「ゴース」
「なんだ、それ」


金縛りが解けて、身体に巻き付いた紙テープを払う。悪戯にも程があるよ。歓迎してくれているのか、やんややんやと踊るゴーストポケモン達。ふよふよとやってきた、ゴーストが何かを差し出してきた。それはちょっとした仮装の服。パーティーに参加に必要なようだ。街の人に謝るのとか、そんなのは後に回さしてもらおう。ゴーストポケモン達からパーティーのお誘いなんてそう受けられるものじゃない。ピース達も同意見みたいだし?他の手持ちを出し、渡された服を羽織る。帽子とサングラスを取ってリュックにしまった。

さぁ、パーティーを始めようか!









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