携帯獣

□強者に許されない権利
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くだらねぇなぁ。と心底思う。戦って勝って勝って勝って以下略。吠え面も負け犬の遠吠えも聞き飽きた。もっと強い相手は居ないのか。こんなに簡単に頂上に登ってしまっていいのか。味わってみたい敗北。舐めてみたい辛酸。打ち拉がれるだけの何かを知りたい。それは強者の我儘。勝者の傲慢。どこまで冷めた感情を持て余していた。擦り寄るウォーグルを撫でてやりなが長く息を吐く。

ポケモンは好きだ。愛おしい。ポケモンバトルはお互いの信頼を確かめ、更に強固なものにしていく。けれど強く成りすぎれば相手が居ない。

負けてみたい。それがどんなものか私は知りたい。


「最強のトレーナーが居るってきいてきたんだけど、知らない?」


あぁ、あぁ。名前も知らないトレーナーが無邪気に笑う。それはまた歪むのだろうか。悔しげに此方を睨むのだろうか。肩に乗ったピカチュウが愛らしい。


「知っているよ」


君は負かしてくれるか?












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