携帯獣

□学会発表
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「人、人、人」


朝から心臓がバクバクしてて落ち着かない。昨日の夜もだったけどね!相棒を抱き締めて、抱き締めすぎてずつきを食らったりしたけどなんとか眠りに就いた。起きてからは忙しない。今日だ。今日が学会当日。少し早いけれど出発し、ホテルに荷物を預けてから会場に向かうらしい。ちょっと遠いらしいので。荷物をチェックして大事なUSBと資料と二つのモンスターボールを確認して部屋を後にした。



・・・



「ご清聴ありがとうございました」


最後に締めくくって発表は終わった。ほぼ時間通りに終われた。数回噛んだりとかスライドのミスとかちょっとやったけど!メモ帳とペンを持って、議長の進行を待つ。お願いだからきて。数人の研究員の方の手が上がっていて、内容についての質問がされる。パニックになりそうなのを堪えながら対応した。難しい事を聞かれたけれど、なんとか答えられた。ギリギリ及第点、みたいな。時間になったので壇上から一礼してから降りる。席に戻れば近くに座っていらしたナナカマド博士に褒めていただいた。淡々とだったけれど、ちゃんと。嬉しくて泣きそうになった。

他の人の発表を聞きながらメモを取る。眼鏡さんから「気になったらじゃんじゃん質問するんだよ」と言われていたし、質問すると他の研究員の方達に名前を覚えてもらうチャンスになると教えてもらったからなるべく質問した。今回の学会発表対象者が年齢の若い研究者とだからか空気が緊張感に満ちている気がした。とは言っても私学会に来たのこれで三度目なんだけれども。最初はガチガチになりすぎてよく覚えてない。そうこうしているうちにオーキドさんの番になった。壇上に上るオーキドさん。私はメモ帳とペンを引き寄せた。背筋がスッと伸びていて、あの真っ直ぐな目で話はじめた。スライドのテンポ、話す速度、見易さ、聞きやすさ。すごいと思った。何であんなに堂々としていられるのかとも思った。危うくメモを取り忘れそうになって慌ててペンを走らせた。なんとなくだけどオーキドさんに笑われた気がした。









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