携帯獣

□feeling party
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存外自分も馬鹿なんだと思った。一ヶ月前、来月の今日、1日とは言わないから昼間は空けておけと言われた。その時はジムの仕事をしていた事もあって半ば流すようにして頷いた。それの意味すら分からないまま適当に予定は空けてあった。挑戦者が来ない限り大丈夫だろう、と。しかしながら僅かに残った仕事の為にジムに向かった、今日の午前。ちょうど終わり、長い息を吐き出した頃、関係者入り口がノックされた。どうせレッドやそこらだろうと検討付けて扉を開くとパァン!と高い音が響き、驚愕に目を開く。リボンやら紙吹雪やらが辺りに散らばった。


「ハッピーバースデイ!グリーン!」


ニコニコ笑いながら言い切る。こちらの言葉が出ないのをいいことに次々と言葉を紡いでいく。ややあって鈍っていた頭が働き出した。誕生日、確かに、今日は自分の誕生日である。忘れていた訳ではないが、頭に無かった。認識はしているもののどういうものは把握して居なかったと云うべきだろうか。だから今クラッカーと共に告げられた単語についていけなかったのだから。


「プチケーキも準備したんだよ。それからプレゼント!さぁ受け取り給え」
「何でプチなんだ?」
「突っ込むとこそこ!?それは私だってホール用意したかったけど、グリーンはナナミさんや博士とパーティーするんだろうな、と思ったからプチ。メインは家族でどうぞ!」


それなりに考えているらしい。だから、昼間、なのか。


「夜は御家族に返します!だから、昼間は私に祝わせてください」
「・・・あぁ」
「よっしゃ!」
「喜ぶところか?」
「当たり前じゃん。でなきゃ一ヶ月前に予約したりしないよ」


そうだな、と言ってからまだ入り口だった事を思い出す。中に招き入れると、もう一度、祝いの言葉。ロウソクを数本しか立てられない小さなケーキに火が灯された。







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