give me...

□糸車を紡いでいけば
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長期任務だから暫らく会えないかもな。としたっぱのしたっぱ、もといユーレイに向かってしたっぱ先輩のベリー(あだ名)言った。転属してしまったユーレイがベリーと一緒に行くことは叶わない。あまり表情は変わっていないが内心不安なユーレイは、自分より背の高いベリーを見上げる。ユーレイの心情を察したベリーは微笑みながらユーレイの頭を撫で、目線を合わすようしゃがみこんだ。


「仕事が一段落したらなんか奢ってやるから。じゃぁな」


段々子供扱いに慣れてきたベリー。これは喜ばしい事なのか、微妙なところである。頷いたユーレイをもう一度撫でてからベリーは立ち上がる。その後ろ姿を見送ったユーレイは天井を見上げた。と、同時に目の前の空間がギョロリと動く。


「脅かさないで、ゴースト」
「ゴースト!」
「ねぇゴースト。何だか不安だよ。嫌な感じがするんだ」


この感じは前にも思ったことがある。“あの時”よりも薄いけれど似ている。けれどユーレイは未だ気付かない。それは小さすぎる波紋だったから。








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