R×Y

ぬくもり
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「ふぃー」

リーバーは自室までの道のりを、首にタオルを引っ掛けたスタイルでのんびり歩いていた。
じっくりと風呂を満喫し、さらにはベッドで寝るのなんて一体何日ぶりだろうか。

部屋に戻ったらをコーラ飲んでからベッドに入ろう、等と考えながら自室近くまで来たリーバーは、廊下に誰かが立っているのに気が付いた。

「神田…?」





「飲むか?コーラだけど」
「いい。さっき食堂でそば茶飲んできた」

部屋に飲み物を冷やす類いの物は置いていないので、リーバーはいつも愛用のカップにコーラかレモンソーダを注いで自室に持ってくる。
温かいお茶を好む神田に出せるような飲み物は、残念ながら置いていないのだ。

リーバーは神田の返事を聞いてからベッドに腰を下ろし、カップを煽る。
ゴクリと喉を鳴らしてひと息ついてから、扉の前から動こうとしない神田へと視線を移した。

「そんなとこ立ってないでさ、座れよここ」

ぽんぽんとリーバーがすぐ隣のマットレス部分を叩くと、神田は無言で近づき、素直にそこに腰を下ろす。
相手がリーバーだと、神田は比較的素直な面を見せる事が多い。それはアレンやラビにしてみれば信じがたい現象だったが。

「任務お疲れさん。怪我しなかったか?」
「別に…いつもと変わらねぇ」
「それって結構怪我したって事だろ?もう治ったのか?」
「かすり傷だ。ホームに着くまでに治った」
「いくら治るって言っても、あんまり無茶はしないでくれよ」
「アクマと闘るのが俺の仕事だ」
「まあ神田らしいけどな。心配くらいはしてもいいだろ?」

はは、と苦笑いしながら、神田の頭頂部に手を置くリーバー。
その何気ない仕草に神田が心拍数を上げている事を、彼は全く知らないでいる。

「そうそう、今日コムイ室長がまた変なモン作ってな」
「またか?懲りないヤロウだな…」

主にリーバーが話題を出す事で交わされる会話。
わざわざ訪ねてきた神田に、リーバーが用件を聞こうとしないのはいつもの事だ。
何か言いたげにしている様子があれば、それとなく切り出し易いように誘導するのだが、そうでなければリーバーは何も言わない。
詮索される事を極端に嫌う神田にとって、そんなリーバーの気遣いは凄くありがたいものだった。


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