novel
□一途な愛
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アルバートは、私に愛を囁いてはくれない。他の男は、すぐに私を愛していると言う。だが、アルバートは違う。
私がどれ程尽くしても、私がどれだけ愛を囁いても、欲しい答えをくれはしない。
(…アルバートは、私を愛していないの?)
こんなにも近くに居て、アルバート唯1人の為に全てを捧げたというのに。
(私に何が足りないの?私の何がいけないの?)
私など、眼中にすら入っていないのだろうか。
「……アルバート」
ぽつりと名前を呼ぶ。それでも、目の前のアルバートはこちらに背を向けたままだ。
「アルバート」
もう1度呼んでみても、振り向いてはくれない。
「アルバート」
ゆっくりと、静かに1歩ずつ広い背中に近付いていく。
「貴方を…」
背に額を付け、逞しい腹筋へ手を回す。
「貴方を、愛してるの…」
涙ながらに告げれば、私の手が温もりに包まれた――。
一途な愛
(貴方だけを愛すると誓うから、私に愛を囁いて)