novel

□寂しさなんて
1ページ/2ページ







「………エクセラ」
「……………どうしたの?」

――カチャカチャ、パチッ

「あ、やっと嵌ったわ」

――カチャ…カシャン、カチャカチャ

「……エクセラ」
「……………ん?」

プラスチックの幾つもの欠片がカチャカチャと音を立てる。エクセラの手にはそれが積み重なった物がある。作りかけのそれはまだ本来の形をしておらず、歪だ。
テーブルの上に転がる欠片を1つ手に取ると、歪な形に組み合わせられないかと色々な角度から合わせていく。しかし、合わなかったらしくその欠片をテーブルへ戻す。そして、違う欠片を手に取る。その動作を黙々と繰り返す。

「エクセラ」
「………………ん?」
「…………」

先程からこの調子だ。名前を呼ばれ少し遅れて、ささやかな返事をする。だが、目は手元やテーブルの上を行ったり来たりしている。俺の事など見向きもしない。どれほど視線を送っても、エクセラの集中が途切れることはない。いつもなら、エクセラの方が俺にしつこいぐらいにくっついてくる。それが今は真逆だ。

――カシャン…カチ、パチッ

欠片が1つ嵌るごとにエクセラの顔が僅かに綻ぶ。

――カチャカチャ、カチ…カチ…カシャン

その顔が俺ではなく無機質な物に向けられるのが気に入らない。

――カシャン…カチャカチャ

俺が今、そんな物にどれほど苛ついているかも知らず、エクセラは手を止めない。それが俺をより苛立たせる。

――カチ…パチッ

静かにソファから腰を上げた。ゆっくりと寝室へ向かう。
寝室のドアを開けエクセラの方を振り返る。

「……俺は先に休むぞ」
「…………ええ」

俺には目もくれずにそうポツリと呟いた。

――パタン…





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ