novel
□寂しさなんて
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「………エクセラ」
「……………どうしたの?」
――カチャカチャ、パチッ
「あ、やっと嵌ったわ」
――カチャ…カシャン、カチャカチャ
「……エクセラ」
「……………ん?」
プラスチックの幾つもの欠片がカチャカチャと音を立てる。エクセラの手にはそれが積み重なった物がある。作りかけのそれはまだ本来の形をしておらず、歪だ。
テーブルの上に転がる欠片を1つ手に取ると、歪な形に組み合わせられないかと色々な角度から合わせていく。しかし、合わなかったらしくその欠片をテーブルへ戻す。そして、違う欠片を手に取る。その動作を黙々と繰り返す。
「エクセラ」
「………………ん?」
「…………」
先程からこの調子だ。名前を呼ばれ少し遅れて、ささやかな返事をする。だが、目は手元やテーブルの上を行ったり来たりしている。俺の事など見向きもしない。どれほど視線を送っても、エクセラの集中が途切れることはない。いつもなら、エクセラの方が俺にしつこいぐらいにくっついてくる。それが今は真逆だ。
――カシャン…カチ、パチッ
欠片が1つ嵌るごとにエクセラの顔が僅かに綻ぶ。
――カチャカチャ、カチ…カチ…カシャン
その顔が俺ではなく無機質な物に向けられるのが気に入らない。
――カシャン…カチャカチャ
俺が今、そんな物にどれほど苛ついているかも知らず、エクセラは手を止めない。それが俺をより苛立たせる。
――カチ…パチッ
静かにソファから腰を上げた。ゆっくりと寝室へ向かう。
寝室のドアを開けエクセラの方を振り返る。
「……俺は先に休むぞ」
「…………ええ」
俺には目もくれずにそうポツリと呟いた。
――パタン…