novel
□俺の傍から離れるな
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エクセラside
アルバートは素っ気ない。会話も私が一方的に話すだけ。今だって私が隣にいてもお構いなしで、書類に目を通している。私居ても居なくても彼には、どうでもいいことなのだろうか。
私は暫く考えて、アルバートの腕に自分のそれを絡める。勿論、胸を押しつけることも忘れずに。
「…………」
けれど彼は、無反応だった。今度は逞しい体に抱きついてみる。
「…………」
(?…少し、力が入ってる?)
やはり、無反応だった。無反応なのを気にかけながらも、彼の膝に頭を預けた。所謂、膝枕だ。アルバートの膝から天井を見上げれば、自然と彼の顔が視界に入る。その整った顔に手を伸ばし、頬に触れた。彼の頬を撫でているとさすがに気になったのか、アルバートは下を向いた。
「エクセラ…何を…「キスして?」
アルバートを見ていると、思わず薄い唇に目がいってしまう。
「………だめ?」
甘えるような声を出して、アルバートを誘う。
「……いや」
ゆっくりと近付いてくる顔。それと呼応して目を閉じれば、口付けられる。軽く触れただけですぐに離れていく唇に、不平を漏らす。
「それだけ?もっとしていたいわ」
「これが終わるまで待っていろ」
そう言って、また書類に目をやるアルバート。その光景は私にしてみれば面白くはない。体を起こし、立ち上がって本棚へと歩み寄り、本を物色する。沢山ある本の中から、一冊だけ手に取り近くにある椅子に腰掛け、それを読み始めた。視界の端にはアルバートの姿がある。気にはなるが、邪魔だと思われたくはない。私は、本に熱中することにした。