novel

□欲望のままに
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アルバートの部屋へ向かう道中、探していた人物を見付けた。

「アルバート」
「エクセラか…」

彼に声を掛け歩み寄れば、こちらを振り返ってくれる。そんな彼に頬が緩んだ。

「貴方に頼まれてたものよ」
「ああ」

彼に頼まれていた事をまとめた書類を手渡す。これを彼に渡すために彼の部屋へと向かっていたのだが、用が済んでしまったので自分の部屋に戻ろうと踵を返した。

「エクセラ」

戻ろうとしたのだが、彼に呼び止められた。

「どうしたの?」

振り返ってそう問えば、彼は私に近付き首筋に顔を埋められた。

「っ、アルバートっ?」
「……変えたのか?」
「えっ?」
「香水だ」

そう言われて漸く気付いた。そういえば、香水を新しく変えたのだ。香水は前のものよりも、セクシーなものにした。

「どうかしら?」
「あぁ、…いいな」
「いい?」
「そうだ、ムラムラしてくる」
「はっ!?」

今、彼は何と言ったの?「ムラムラ」?普段の彼からは想像もできない言葉に、思わず目を見開いた。当の本人は私の首筋に顔を埋めたままだ。

「アルバート?…あの」
「エクセラ、お前は俺を欲情させたいのか?」
「欲っ!?」

さすがに驚きを隠せない私は、アルバートの体を突き放してしまった。はっとして、恐る恐る彼を見れば、彼は素敵な笑顔を浮かべていた。

「あ、アルバート?その…「エクセラ。俺の部屋に来るといい。…天国に連れて行ってやる」
「えっ!ちょっ、きゃあぁぁ!?」

アルバートが一歩一歩近付いてくるのに合わせて、後ずさるが腕を引っ張られ、軽々と肩に担がれてしまった。突然の浮遊感に悲鳴を上げる。私の反応を楽しそうに、ニヤリと笑うアルバート。

「ちょっと、降ろしてっ!」
「まあ、そう遠慮するな」

高らかに笑うアルバートに僅かに殺意が芽生えた。だが、どうすることもできず、溜め息を吐いた。

「どうした、諦めたのか?」
「そうよ。自分で歩くわ。だから、降ろしてっ!」
「………仕方ない」

漸く地に足が着いた。ほっと一息吐けば、腕を引かれる。

「部屋に着いたらお前に選ばせてやる」
「…聞きたくないけど、何を?」
「コスチュームを、だ」
「……コスプレじゃないの?」




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