novel

□忍耐力が試される
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ウェスカーはエクセラの部屋を訪れていた。何故なら今朝、いつもならエクセラがウェスカーを部屋まで起こしに来るのだが、それがなかったからだ。
軽くノックをしてみるが、返事はない。仕方なくドアを開けて、中へ入った。部屋の奥の大きなベッドを見やれば、人型に盛り上がっていた。ウェスカーはそれを確認すると歩み寄り、掛け布団に手をかけ捲った。

「……エクセラ」

案の定、エクセラが眠っていた。名を呼べばゆっくりと開かれる双眸。

「…ん…、アルバート…?」

ウェスカーを映すエクセラの瞳は潤んでおり、心なしか頬が赤い。そんなエクセラを不審に思ったウェスカーは、額に手をやった。

(…熱い、な)

どうやら、熱があるようだ。仕方なく、女の付き人を呼び、エクセラの処置をさせた。

(休ませるか…)

付き人にエクセラを任せウェスカーは、部屋を出ていこうと足を踏み出せば、突然手を握られた。ベッドの方へ振り返れば、上体を起こしたエクセラがウェスカーの手を弱々しく握っていた。

(っ!!)

潤んだ瞳、切なげに顰められた眉、上気した頬、苦しそうに何度も繰り返される呼吸。いつもの強気な彼女からは想像もつかないような弱々しい姿に、理性が揺さぶられる。

「っ…アルバート…行かないで…っ…」

弱々しく懇願するエクセラ。

「……下がれ」

付き人の女にそう言えば、静かに部屋を出て行った。それを横目で見て、ウェスカーはベッドの端に腰を下ろした。エクセラは後ろから腕を回して抱き付いた。抱き付かれれば、背中に柔らかな胸が押し付けられる。普段はあまり深く考えることはないそれに、ウェスカーの下肢に熱が集まっていく。

「…ごめんなさいね、我が儘なんて……」
「いや。それより、寝ていろ」

ウェスカーは出来るだけ優しい声でエクセラに言う。

「じゃあ…添い寝、して?」

(なっ!?)

エクセラの言葉に激しく動揺した。

「…………いいだろう」

少し間を置いて了承すれば、エクセラはウェスカーの腕を引いてベッドに横たわった。ウェスカーも同じように隣に横たわる。ウェスカーの腕を枕にし、厚い胸板へ顔を埋めるエクセラ。

(……蛇の生殺しだな)

熱を持った下肢をどうすることも出来ず、ウェスカーはエクセラを抱き締め、目を閉じた――。






忍耐力が試される
(起きたらどうしてくれようか)





 

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