novel
□独占的私欲
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自分の部屋に戻り、ベッドに腰を降ろす。ベッドサイドには、シンプルにラッピングされた箱が置いてある。私がアルバートの為に作った物だ。
(無駄になっちゃったわね…)
その箱を手に取り、どう処理をしようかと迷う。
(捨てようかしら、でも……)
一人、箱を手に悩む。突然、手から箱が消えた。否、誰かの手によって奪われた。その手の出所へ目をやれば、アルバートが立っていた。
アルバートは私から奪った箱を開け中の物を手に取り、躊躇いもせず口の中へと放り込んだ。
「…甘いな」
「チョコレートだもの」
苦手なのだろうか。眉間に皺を寄せている。だが、口の中の物を飲み下すとまた一つ、口へ放った。アルバートの口の中へ次々と消えていくチョコレート。
箱の中のチョコレートを全て平らげると私を見た。
「……誰にくれてやるつもりだったんだ?」
空になった箱を捨て、アルバートは不機嫌そうな顔で聞いてくる。少し驚いて何も言えずにいると、彼は私の隣へと腰を降ろした。
「……言えないのか」
(これは…嫉妬かしら?)
彼が名前も、顔すらも知らない人間に嫉妬していると分かって、思わず笑ってしまった。