novel

□存在感と違和感
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Wesker side





今日もいつもと変わらない一日が始まる。
…だが、今日はいつもと何かが違う。そうだ、今日はあの女―――エクセラが居ないのだ。
何でもトライセル・アフリカ支社で大事な取引があるらしく、朝からそちらに向かった。そのため、エクセラに任せている薬の投与も自分ですることとなる。
薬の投与を終え、パソコンを起動させ、ある計画を練る。
いつも通りの作業をしているはずなのに、何かが違う。

(……まさか、な)

キーボードを打つ手を止め、サングラスを外してデスクに置く。小さく溜め息を吐く。ふと時計に目をやれば、一時間程しか経っていない。こんなにも集中力が続かないことは、初めてのことだった。
俺の部屋にはいつも、エクセラが居座っている。だが今日、この部屋にエクセラの姿はない。俺だけが存在する部屋のはずなのだが、そんな当たり前のことに違和感を感じてしまう。
全く以て、腹立たしい。利用しているだけだと思っていた唯の女が、俺の中でこんなにも大きな存在になっていたとは。末恐ろしい女だ。エクセラが俺に対して恋愛感情を抱いていることは、何を見ても一目瞭然だった。しかし、不思議な事にその感情に悪い気はしない。いつもの俺であれば、そんな感情は利用するだけのものでしかない。だとしたら、何故エクセラだけが?
静かにまた一人、溜め息を吐いた。


そして、視界の端にあったそれを手にとった―――。







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