novel

□いつもの
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アルバートの部屋の前に立つ。ドアノブを捻ろうとして自分の姿を思い出す。
彼はきっと驚くだろう。その反応は気になるけれど、似合わないと言われてしまったら私はどうしたら?
物思いに耽っていると、目の前のドアが突然開かれた。開けたのは勿論、この部屋の主であるアルバートだ。

「何をしている。早くしろ」
「…分かってるわ」

私の姿を見ても何ら変わりのないアルバート。

(気付いてない?まさか、そんなはず…)

ソファに腰掛け、いつものように薬を投与した。

「――終わったわ」

そう告げてソファから立ち上がりドアへと歩み寄った。しかし、それはアルバートの男らしい手に阻まれてしまった。

「…何かしら?」
「今日は違うんだな?」

その問いに肩がびくりと跳ねた。不意に、掴まれている腕を強く引かれた。急激に引っ張られ、そのままアルバートの胸へ倒れ込んでしまった。体を離そうとするが、アルバートが私の背中に手を回す方が断然早かった。完全に腕の中へ閉じこめられてしまう。

「別に、何でもないわ」

素っ気なく返せば、頭上から微かな笑い声がした。早くこの場から逃げ去ってしまいたい。顔を伏せていると顎を掴まれ、上を向かされる。

「よく似合っているな…」

顎にあった手を首筋に滑らせ、鎖骨、胸と徐々に下へと降りていき、腰に添えてきた。
アルバートの言葉が嬉しくて、腕を彼の首の後ろに回してより、体を密着させた。大きすぎる胸が圧迫されて少し苦しいが、そんなことには構っていられない。堪らず自分から口付ければ、当然のように応えてくれる薄い唇。

「…っは…。…嬉しいこと、言ってくれるのね?」

私の首筋に顔を埋めているアルバートを軽く押しのけ、するりと腕から抜け出す。

「…やっぱり、着替えてくるわ」

そう言いドアを開いた。

「また…来るわ」

小さく呟いた。アルバートに届いたかは定かではないが、垣間見た彼の口角は上がっていた。












いつもの



(部屋に戻れば、いつもの私)









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