novel

□いつもの
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最低な一日―――それは、まさに今日のことかもしれない。






私の気に入っていた服が破けてしまった。きっと何処かに引っ掛けてしまったのだろう。裾が少し裂けてしまっている。

「最悪だわ…」

裾を眺めながらポツリと呟く。
このままではいけないと思い、自分の部屋のクローゼットを開けて物色する。だが、この服は一着しか持っていない。彼の隣に立つ女として恥ずかしくないよう、豪華な色で尚且つ露出は高めに作らせた服。けれど、破けてしまったのなら仕方がない。クローゼットから黒のドレスを出した。このドレスはそれとよく似ているから。立ち襟のホルターネックで胸元は広く開いており、背中もまた然り。そして、短めのスカート。靴は黒のハイヒールにし、アクセサリー類は全てシルバーの物を身に付けた。
着替え終えた頃、丁度よく携帯が鳴った。携帯を開き、ディスプレイを見れば、アルバートの文字が。すぐに通話ボタンを押した。

「私よ」
「薬の投与はお前に任せている筈だが?」

アルバートの言葉にはっとして、時計を見れば薬を投与する筈の時間だった。

「ごめんなさい、すぐに行くわ」
「ああ」

短い返事を聞いてから通話を終了させ、注射器の入ったアタッシュケースを手に、アルバートの部屋へと急いだ。


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