novel2
□不満は有っても、愛が有る
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朝になり目を覚ますと、目の前にはベッドの端が見えた。ごろりと寝返りを打てば、エクセラが目に入った。正確にはエクセラの背中が、だ。
エクセラはこちらに背を向けたまま眠っている。ぼんやりとその背中を見つめていると、何やら疎外感のようなものを感じた。
思わずエクセラに手を伸ばし、細い体を抱き寄せた。
ふとベッドサイドにある置き時計を見れば、7時を過ぎていた。
(仕事……いや、今日は休みか…)
起きなくては、と思ったが今日が日曜日だということを思い出し、目を閉じた。
だが、1度冴えてしまった目は閉じた所で再び眠る事など出来ず、目を開くしかなかった。
(まだ、起きないのか…)
俺の腕の中に収まるエクセラは、すやすやと安らかな寝息を立て身動ぎひとつしない。俺が抱き締めているというのもあるのだろうが、寝返りすら打たない。
「……エクセラ?」
名前を呼んでみた。すると、エクセラの肩がぴくりと動く。
(……起きていたのか)
エクセラはもぞもぞと俺の腕の中から抜け出すと、俺から少し遠ざかり動きを止めた。
何がしたいのかと首を傾げたが、気にせずエクセラに近寄った。それに気付いたエクセラは即座に逃げようとするが、すかさず抱き締めて逃がさない。
「エクセラ、どうし……」
「私、今日からゲストルームで寝るわ」
俺の言葉を遮り、エクセラがそう言い放った。
「何を……」
「昨日、そう言ったじゃない」
「昨日…?」
「…まさか、もう忘れたの?」
ぐるぐると記憶を呼び覚ましていると、エクセラは呆れたような溜め息を吐いた。
「…………最低ね」
「エクセラ…?」
「…いくら仕事が終わった後で疲れてたからって、そんなに早く忘れられるもの?」
「いや…覚えている」
「…………」
「背を向けて眠るな、だろう?」
分かってるなら、とこちらを振り向いたエクセラの後頭部を押さえ、噛み付くような口付けをした。エクセラの瞳は驚きで見開かれていた。ゆっくりと唇を離せば、エクセラは口を開こうとはしなかった。
そんなエクセラを正面から抱き締めた。
「……絶対って、言ったじゃない…」
「…ああ」
「……そんなに私の方を向いて寝るのが嫌なの?」
「それは違う。ただ……」
「…ただ?」
「お前が……エクセラが、嫌がると思ったんだ」