novel2

□夢で会えたら
1ページ/1ページ







そっと、エクセラはウェスカーに寄り添った。広い肩に頭を預け、逞しい腕を抱き締める。
不意にウェスカーはエクセラの顎を掴み、上を向かせる。エクセラが自然と目を閉じると、それに応えるように口付けた。互いの唇をはみ、薄く唇を開けば生暖かい舌がエクセラの口腔へと侵入し、歯列をなぞった。ねっとりと舌が絡め合えば、クチュ、と卑猥な水音がエクセラの鼓膜を揺らした。

「…ふ……ん、ぅ…アルバート……」

唇が離れ、エクセラは潤んだ瞳でウェスカーを見つめた。ウェスカーはそんなエクセラの頬を撫で、背に腕を回して細い体を抱き締めた。

「アルバート…このまま、離れたくないわ…」

ぽつりとエクセラは呟き、逞しい体により一層己の体を密着させた。

「いつかは離れる運命なら、出会わなければ良かったのに……」
「…エクセラ」

ウェスカーは悲観的な発言をするエクセラの頬を両手で挟み、今にも涙が零れ落ちそうな瞳を見つめた。

「俺は、そうは思わん」
「アルバート…?」
「お前とこうしていられる事に幸福を感じられた。お前を…愛しいと思えた」
「!……アルバート」
「それでもまだ、俺と出会わなければ良かったと思うか…?」

エクセラはポロポロと涙を零しながら、柔らかく微笑み首を横に降った。

「思わないわ…。貴方に、出会えて良かったわ」
「…そうか。……では、離れるな。俺の傍から…」































「―――っていう、夢を見たのよ!」
「……朝っぱらから何だ」

エクセラが俺の部屋にいきなり押し掛けて来たと思えば、俺を叩き起こし夢の話をし出した。
寝ぼけた頭と体を起こし、仕方なくエクセラの話を聞いてやる。一通り離し終えると、エクセラはいそいそと俺の居るベッドの中に潜り込んだ。

「…おい」
「なあに?」
「何故ベッドに入る」
「夢の続きを見ようと思って」
「…それなら自分の部屋に戻ればいいだろう」
「だって…アルバートと一緒に眠れば、同じ夢が見られるかもじゃない。それに……貴方と一緒に居たいの…」
「……!」

伏し目がちに発せられた、これ以上無い程の殺し文句に不覚にもドキリとしてしまう。

「……そうか」

エクセラに動揺を知られぬよう平然を装い、自らもベッドの中に潜り込むと、細い体を抱き締めた。

「アルバートも…寝る、の?」
「……悪いか」
「ふふっ…そんな事ないわ」

起きてすぐに俺の所へ来たのだろう、ベッドに入って数分もせずにウトウトと船を漕ぎ始め、すりすりと俺の胸板に頬を擦り寄せた。そんなエクセラを見て、たまには叩き起こされるのも悪くはないて思ってしまった自分がいた―――。







-end-






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ