novel2

□お前は俺の所有物
1ページ/3ページ







朝、エクセラの部屋へ足を運んだが、不在だった。それだけならば特に気にはならなかったが、明らかに部屋が荒らされていた。床には書類やら注射器やらが散らばっている。エクセラで無い事は確かだ。
では、一体誰がこんな事をしでかしたのか。答えは簡単だ。エクセラは今や世界的に有名なトライセルの女社長だ。だが、いくら才能が有ると言っても、エクセラの生まれは傍流のギオネ家。当然、それをよしとしない人間がいる。そいつらの仕業だろう。

(エクセラを連れ去ったか……)

エクセラに腹いせをする為に連れ去ったのだろう。
俺は不意に、携帯を手にした。エクセラのピアスには、発信機を仕掛けてある。何時、何処で、何をしているか分かるように。出来るだけ俺の目の届くようにはしてあるが、念のためだ。それのお陰でエクセラの居場所はすぐに、判明した。

(此処か、意外と近いな……)

とある建物の上にエクセラの発信機の場所を示す、赤いマークがある。今俺が居るトライセルからそう遠くない。
俺は部屋を出ると、研究施設を後にした。



















「……此処だな」

車を走らせ、エクセラが居るであろう場所にたどり着いた。車を降り、目の前にある廃れたビルを見上げる。ハンドガンをホルスターから取り出し、建物の中へ入っていった。
建物の内部は酷く荒れていた。床には、ガラスの破片が飛び散り、それらは俺が足を踏み出す度に音を立てる。階段を上っている途中、携帯電話を見付けた。それは、エクセラの物だった。エクセラは間違いなく此処に居る。

(これだけ広いと手間がかかるな…)

そう思いつつも階段を上って行けば、1つの部屋から声が聞こえた。静かにドアに近寄り、聞き耳を立てる。

「これで、トライセルも終わりだな」
「ああ。あの女は殺されるか、輪姦されるんだろうな」
「いい体をしているからな。楽しめそうだ」

あの女とは、エクセラの事だろう。

(居場所を知っている筈だ)

声を聞く限りではこの部屋には、数人の男が居るようだ。
俺は躊躇いもせず、ドアを蹴破った。それに気付いた男達は、当然こちらを向く。即座にハンドガンで頭を撃ち抜き、1人だけ頭ではなく足を撃った。

「ぐああぁぁっ!!」

男は撃たれた足を押さえ、床に横たわった。その男に近寄り、銃口を向けた。

「貴様らが言っていた女は何処に居る」
「っ…何を…うああぁっ!!」

鉛弾を撃ち込んだ方の足を踏み付けた。

「何処に居る」
「あの女は…さ、最上階に…!」
「そうか」

エクセラの居場所を聞き、踏み付けていた足を下ろし、引き金を引いた。ハンドガンに弾を込め、血の匂いが充満する部屋を後にし、再び階段を上る。

(……この部屋だな)

最上階まで上り、部屋を1つ1つ調べていけば、奥の部屋が最後の部屋となった。エクセラは此処に居る。
ゆっくりとドアを開ければ、部屋中央の大きなベッドが目に入った。





次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ