novel2

□ラブラブしたいの
1ページ/1ページ







今日の空模様は生憎の雨模様だ。
トライセルの施設内の通路にある窓からふと、外を見た。隣に居るエクセラも、外に目をやった。

「雨、か…」
「なあに?雨、嫌いなの?」
「まあな」
「ふうん?私は…好きだけど」

エクセラはそう言うと、俺の腕に自分のそれを絡めた。

「だって…相合い傘、出来るでしょ?」

ふふ、と微笑みかけるエクセラに俺は思わず固まった。

(この展開は……)

「ねぇ、アルバート」
「……何だ…?」
「外に行きましょ?」
「…………」
「私、貴方と相合い傘したいわ」

思い描いた展開に、俺は冷や汗を流す。
すかさずエクセラを思い留まらせようとするが、エクセラは傘を取りに行くと言い、何処かへ行ってしまった。仕方なくその場でエクセラを待ってやる事にする。

(この間のように拗ねられても困るからな…)

あの時の事を思い出し、眉間に皺を寄せた。暫くすると、傘を持ったエクセラが戻ってきた。

「行きましょ?」
「…ああ」

エクセラの言葉に返事を返せば、エクセラは動きを止めた。

「ん…?どうした?」
「その…そこまですんなり言われると思ってなかった、から…」
「フ…早く行くぞ」

エクセラの手を引き、出入り口へと向かう。

「…………」
「……雨、上がっちゃった…みたいね」
「……そうだな…」

いざ外へ出てみると、雨は既に上がってしまっていた。エクセラは傘を握り締め、誰から見ても分かるほどあからさまに肩を落とした。

「残念だわ…貴方との相合い傘……」

エクセラは眉を下げ、俯いた。そんなエクセラを見ていられず、不意にエクセラの手を取った。当然、驚いたエクセラは顔を上げ、掴まれた手と俺の顔とを交互に見た。

「アルバート?」
「……相合い傘は、してやれんが…お前と手を繋いで歩く事は出来るぞ?」

そう言うと、エクセラはいつものように笑みを見せ、嬉しそうに俺の腕に頭を擦り付けた。そして、俺の手を引いて歩き出す。

「おい…」
「ねぇ、これって…デートみたいなもの、よね?」
「!……ああ、そうだな」
「ふふっ…」

俺は少しばかり歩調を早め、エクセラの隣に並んだ。そして、トライセルの施設の周りを話ながら歩く。

「あ!私…傘、持ったままだったわ」
「俺が……」

持っていよう、そう言おうとして、口を閉ざした。

「あら?」

ぽつぽつと雨粒らしきものが、服に小さな染みを作った。次第に雨粒が大きくなり、土砂降りに近い勢いまでになった。エクセラは即座に傘を差し、俺の頭上に翳すと、自らもその中へ入った。

「……できたわね?相合い傘…」
「ああ……」
「相合い傘って…不思議ね」

不意にエクセラが伏し目がちに口を開いた。

「…何だか私達しか居ないみたいだわ」
「ククク…可笑しな事を言う。……今、此処には俺とお前しか居ない」
「ふふっ…そう、だったわね」

微笑むエクセラに口付けを贈る。

(雨は……意外と良いものだな…)





























「凄かったわね、雨」
「そうだな」
「水が跳ねて靴も足も汚れちゃったわ」
「…………(俺は右肩がびしょ濡れだ)」
「どうしようかしら?」
「…………(洗うべきか…?)」
「そうだわ」
「?」
「ついでだからお風呂……入りましょ?」
「ああ……」
「2人で……ね?」
「っ!!!!」











ウェスカーさんとエクセラたんの相合い傘…見てみたい。(切実に)






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ