novel2
□夫婦パロ
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家に着き、ふと助手席に居るアルバートを見れば、眠っているようだった。だが、その額には汗が浮かび苦しそうな表情をしていた。
「アルバート、起きて。着いたわ」
「…………ああ…」
アルバートの小さな返事を聞き、車を降りた。そして、助手席側のドアを開ければ、アルバートはゆっくりと車を降りた。ドアを締め、フラフラと歩き出したアルバートに近寄り、その体を支えてやりながら、家に入った。
すぐに寝室へ連れて行き、ベッドにアルバートを寝かせた。
「あ…アルバート。スーツ、脱がないと皺がついちゃうわ」
「………脱がせてくれ」
「……仕方ないわね」
小さく溜め息を吐き、アルバートのスーツを脱がせ、ハンガーに掛けた。
(ネクタイも外さないと…)
そう思い、ネクタイを外す。
「…エクセラ」
「なあに?」
「Yシャツ…苦しいんだが……」
「分かったわ」
そう返事をして、Yシャツの第1ボタンを外した。
「これで良い?」
「ああ…」
「そう。…お昼は?食べられそう?」
「……お前が、食べさせてくれるなら」
「………お粥、作ってくるわ」
そう告げ、キッチンへ向かった。手早くお粥を作り、風邪薬と水の入ったコップを持って寝室へ戻った。
ベッドサイドに風邪薬とコップを置き、ベッドの端に腰を降ろした。
「アルバート」
名を呼べば、怠そうにしながらも体を起こした。
「はい。食べて?」
「…………」
お粥の入った器とスプーンを差し出すが、アルバートは一向に受け取ろうとしない。
「病人なんだが」
「……分かったわよ…」
アルバートの言葉にそう呟き、スプーンでお粥を掬い、息を吹きかけて冷ます。ある程度冷めたそれを、アルバートの口元へ持っていった。
「はい、あーん」
「…………」
「……食べられそう?」
そう問うと、アルバートは口の中のものを飲み下し、口を開いた。
(食べさせろってこと…?)
そんな子供のようなアルバートに思わず笑みを漏らした。すると、アルバートが早くしろと私を催促した。
「はいはい。……はい、あーん」
「…………」
そして、アルバートはあっという間にお粥を完食した。
(完食……)
空になった器をベッドサイドに置き、代わりに薬瓶を手に取った。瓶の蓋を開け、錠剤を3錠取り出し、蓋を締める。
「はい、アルバート。風邪薬よ」
「……そんなもの、飲まなくとも治る」
「そんなこと言わないで。飲むの」
「…………」
アルバートは薬を見たくないとでも言うように、顔を背けた。
(…何が嫌なのかしら?)
「……そんなに嫌なの?」
「………嫌だ」
「ふうん?……私が口移ししてあげるって言っても?」
「嫌なものはい………何?」
アルバートは、はっとしたようにこちらを向いた。
「折角口移ししてあげようと思ってたのに」
残念、と言ってベッドから立ち上がろうとすれば、不意に腕を掴まれた。
「どうしたの?」
「……飲む…」
「あら、そう?じゃあ、はい」
薬を差し出せばアルバートはそれをすぐに口に放り込んだ。それを見て、私はコップに口を付け水を口に含んだ。ベッドに手を付き、アルバートの頬に手を添え、唇を合わせた。そして、薄く唇を開き、水を流し込む。
「………ん…飲んだ?」
「…………」
「え…っ!…んっ…んん……ぁ…」
再び唇が触れ合ったと思えば、ベッドに押し倒されてしまった。自然に覆い被さったアルバートの体を押し退けようにも、執拗に舌を絡め取られ、思うように力が入らない。