novel2
□夫婦パロ
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《夫婦パロ》
いつものようにアルバートを起こし、2人で朝食を摂っていた。だが、アルバートの様子がどうもおかしい。何をするのにも怠そうにし、それに加えてアルバートの白い肌がほんのり桃色に染まっている。
「……アルバート」
「何だ?」
「………何でも、ないわ」
「そうか」
(……大丈夫かしら?)
そうは思ったが、結局アルバートに体調の良し悪しを聞くことが出来ず、朝食を終え、アルバートは仕事へ行ってしまった。
そして、その4時間後。アルバートから1通のメールが届いた。
『悪いが病院に来てくれ』
メールの本文にはそうあった。私はすぐに支度をし、アルバートの元へ急いだ。
病院に着き、受付にアルバートの居場所を問えば、休憩室のような部屋の前に案内された。ドアを開けて部屋の中を見れば、ソファに横になったアルバートが居た。
「アルバート…!」
近付いてソファの傍にしゃがみ込み、アルバートの頬に手を添えた。触れた頬は異様な程熱い。
「………っ…」
「!…アルバート、大丈夫?」
「…エクセラ……?…何故、此処に居る?」
「何故って、貴方が来いってメール寄越したんじゃない」
「何…?………あいつか…」
「あいつ?」
「いや…」
「?」
口籠もるアルバートを気にしつつ、手の平をアルバートの額に当てた。
(どう考えても熱があるわ……)
「お昼は食べたの?」
「……いや」
「そう。じゃあ、行きましょ」
「何処に…」
「家に決まってるでしょ?」
私はアルバートの腕を引っ張り、立ち上がった。そんな私につられるようにして、アルバートはソファから立ち上がった。
「…立ったのは良いけど、歩ける?」
「……大丈夫だ」
そう言うと、アルバートはドアに向かって歩き出す。だが、その足取りはフラフラと危なっかしい。
(倒れられても困るし…)
そう思い、アルバートの体を支えてやる。
「………悪い」
「ふふ…いいのよ」
―――ちゅっ
「!」
「早く帰って寝ないと、悪化しちゃうわ」
アルバートの体を支えつつ、車へと向かった。
(私が運転するしかなさそうね…)
アルバートを助手席に乗せ、私は運転席に乗り込んだ。
「ちゃんとシートベルトして?」
「…………」
「アルバート」
「…………」
アルバートはぐったりと体をシートに預け、相当怠いらしく私の呼び掛けにも反応を示さない。仕方なく運転席から手を伸ばし、助手席のシートベルトを引き出した。
すると、閉じられていたアルバートの目蓋が上がり、至近距離で目が合う。暫く見つめ合えば、どちらからともなく自然に唇が合わさった。唇の隙間から、ぬるりとアルバートの舌が口腔へと侵入してきた。
(……熱い…)
「んっ…ん、ん……ふっ…ん…アル、バート…」
「………遷るぞ」
「遷せばいいじゃない…ん…んっ…んん、んぁ…っは…」
「俺としては…お前に遷したくは無いんだが、な」
「でも、その時は看病してくれるんでしょう?」
「ククク…付きっきりでな」
緩やかな弧を描く唇にもう1度軽く口付け、カチリとシートベルトを締めた。そして、車を家へと走らせた。