novel2

□束縛彼女で5題
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《好き、大好き》



―――カチャ…

「アルバート?………此処にも居ない…」

朝からずっと探しているのに、何処を探してもアルバートが見付からない。

(何処に行ったのかしら……)

思わず溜め息を1つ吐いた。
朝からアルバートに会っていない。彼に触れていない。唯それだけの事なのに、何もやる気が起きない。

(私の栄養源なのに…)

今すぐ抱き付いて、話したい。だが、肝心のアルバート本人が居ないのでは話にならない。また1つ、溜め息を吐いた。
アルバートが部屋に居ないとなると、他に宛がなくなってしまう。すっかり肩を落とし、部屋を出た。

(何処なの…?)

諦めかけたその時、微かに足音が聞こえた。

(アルバートかしら?)

足音のする方へ、誘われるように歩き出した。
少しずつ足音が大きくなってくる。ふと、通路の先へ目をやった。

(……あ…)

見慣れた黒ずくめの広い背中、紛れもなくあれはアルバートだ。自然と早足になっていく。コツコツとピンヒールが床を叩く音が、通路全体に大きく響き渡る。

(あら……?)

不意にアルバートが立ち止まった。これは好都合と、距離を徐々に縮めていく。そしてあと3メートルという所で、ゆっくりとアルバートが振り向いた。

「……エクセラ」
「!…アルバート」

躊躇いもせずに、アルバートに抱き付いた。

「どうした」
「…何でもないわ。ただ、貴方に会いたかったの」
「…そうか」
「ええ」

私の背にアルバートの腕が静かに回され、抱き締められる。

「…アルバート」
「何だ」
「ふふっ…好きよ。傍に居て?」
「駄目だ、と言ったら?」
「貴方が"分かった"って言うまで、離さないわ」
「フ…"分かった"」
「ふふふ…」

そして、いつものように私はアルバートの隣を歩き出した。




今日も、私の傍に。





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