novel2

□過去拍手C
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「…………」

外は清々しい程の晴天だというのに、俺は苛立ちを募らせていた。
苛立ちの原因。それは、家の周りにあった。
ソファに座り、チラリと窓から家の周辺を見れば、10匹近くの猫が居た。そして、そのそれぞれが盛大に鳴き声を発している。

「あらあら…また猫が集まってきたわね」
「……いい加減、五月蝿くてかなわん」
「そうねえ…私もウンザリだわ」

エクセラが呆れたように言う。
猫の鳴き声が五月蝿いというのも苛立ちの原因に入るのだが、理由はもう1つあった。鳴き声を出している猫は全て雄で、エクセラを求めているということだ。
エクセラは今、人の形をしているが、元は猫なのだ。

(猫共め…盛りおって……)

今の時期に猫が発情期を迎えていることは安易に予想は付くが、何故エクセラなのか。

(雌猫など、他にもその辺に居るだろう)

そう思い、小さく溜め息を吐いた。

「あ。喧嘩してるわ」

(……そりゃあ、猫は必死だろうからな)

「あ。1匹逃げて行ったわ」

(1匹減った所で何が変わる)

本日、何度目かも分からない溜め息を吐くと、エクセラが静かに口を開いた。

「ねぇ、アルバート?私、思ったんだけど…あの猫達は私を呼んでるのよ?」
「それが何だ」
「だから、私が居なくなれば…」
「駄目だ」

エクセラの言葉を遮り、キッパリとそう言った。

「でも…」
「許さん」

眉間に皺を寄せればエクセラは苦笑して見せた。

「…分かったわ」

エクセラはそう言うと、隣に腰を降ろし、俺の肩に頭を預けた。

(どうしたんだ、俺は……)

エクセラは人ではなく、猫だというのに。エクセラに対してのこの感情は何なのだろうか。エクセラを離したくない。他の男(猫)の所へ行かせたくない。まして、その体に子を身籠もらせるなど考えられない。
これは唯の独占欲か、それとも―――。

「……アルバート」
「何…―――!」

名を呼ばれ、ふと隣を見ればエクセラがこちらを向いていた。白い頬は上気し薄桃色に染まり、その瞳には情欲の色が見え隠れしていた。そして、何やら内股を摺り合わせている。

(まさか……)

「来ちゃったみたいなの………発情期」
「…な………」

(どうりで、匂いを嗅いでいると思ったら……)

「だから……外、行ってきても良い…?」
「…………」

エクセラのその言葉に思わず、俺は目を見開いた。
外。それはつまり、他の猫と交配をするということなのだろう。

「…駄目だ」
「!……で、も…」

外に行く事を禁じれば、エクセラの瞳がじわりと潤んだ。

「…だっ、て……アルバートは、嫌…でしょ…?」
「嫌?」
「私、を……」
「お前を抱く事が、か?」

そう口にすれば、エクセラはこくこくと何度も頷いた。

「だ、から…」
「そんな事、試してみなければ分からんだろう?」
「え…?」
「試してみるか?それに…」

丁度俺も溜まってるからな、そう耳元で囁けばエクセラはぞくりと肩を震わせた。そして、熱の籠もった息を吐くと、俺の首筋をザラザラとした舌で舐め始めた。
そんなエクセラに、自然と口角が上がっていくのを感じた。

「ん?」

不意にエクセラの背に回した腕に、違和感を感じた。

(何だ……?)

その腕に目をやれば、真っ白な猫の尻尾らしきものがが俺の腕に絡み付いていた。しかも、それはエクセラが穿いているスカートの中から出ている。

(ほう…)

「エクセラ」
「…ン……っふ…ん…」

名を呼んでみるが、先程から俺の首筋やら鎖骨やらを舐めるのに夢中になっているようだ。
そんなエクセラを抱き上げ、寝室へ向かった。

(避妊は必ずしなくては、な……)

そんな事を思いながらも、エクセラをベッドに降ろし、甘美な一時を味わった―――。






猫は発情期


(子供が出来たらどっちになるのだろうか)






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