novel


□今夜の星が流れたら
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「ええと、なになに…可愛い可愛い娘達がずっとお嫁に行きませんように…?って、シビルったら一国の王様のくせに、何考えてるのよ」
「まだ赤ちゃんだったよなぁ、キーナとクルマナ」
「私もドールも真面目にお願いしてるっていうのに、もう!」

ひとしきり文句を言い、シビルが書いたらしい短冊を外して、通りの人々から良く見えるよう高い場所に吊すと、マテリアは笑った。
「せっかくだから、一番目立つ所にかけてあげましょ」
「そんなんじゃ懲りないだろ、シビルは」
隣で夜空を仰ぐマテリアを見上げると、ドールは振り返った彼女に笑い返した。

(…いつまでも、なんて贅沢は言えないけど)
自分が願う事は、おそらくずっと変わらないだろうから。
星に願うなんて今日は本当にどうかしている、と自嘲する。

外を見上げると、いつの間にか空を覆っていた雲はすっかり消えている。
明るい濃紺の夜空に星が輝き始めたのが見え、ドールは思わず眩しそうに目を細めた。




■アレサ王国に七夕はないだろう…と思いつつ書いてしまいました。
 うん、よくよく考えたら七五三もバレンタインも多分ないよね!許してください。
 ところで、日に日にドールがヘタレっ子になっていきます。
 書いててこっぱずかしくなってくるので困ります…。
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