薄桜鬼短編

□はじめくんとあたし 3
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さっむ!廊下さっむ!
あたしは今冷たい廊下と格闘しながらあるところに向かっている。あ、はじめくんの部屋じゃないよ!行きたいけどそれは用事が終わってから。今ははじめくんの部屋よりも先に台所に行かなきゃならないのだ。寒いけど。寒いけど。土方さんに『暇なら茶ァ持ってこい』て命令されました。ええ、はい、副長命令です。なんであたしに言うんだよお前には千鶴ちゃんがいるだろとか思う。ムカつくからごっさ冷たいお茶煎れてやろうかな、うへへ。


「どうしたの?そんな気持ち悪い顔して」
「気持ち悪いってどーゆーことそーちゃん。そのお綺麗な顔ぐちゃぐちゃにしてやろーか」

急に目の前にでてきたのはそーちゃんこと沖田総司だ。あたしもそーちゃんと同じく偉そうな土方コノヤローが大嫌いなので、二人揃っては嫌がらせをしていたりする。
そーちゃんは怖いなあとか言ってるけどそれは口先だけの言葉。

「君、確か寒がりだったよね?なんで廊下に居るわけ?」
「土方コノヤローに茶ァ持ってこいって言われた。んで断ったら副長命令だってさ。もーほんと一回でいいからあの人のお綺麗な顔ぐちゃぐちゃにしてやりたい」

眉間にシワを寄せながらぶつくさ言うあたしの頭をぐしぐしと撫でるそーちゃん。よくあたしはいろんな人(と言っても隊長格の人だけだけど)によく頭を撫でられる。なんでも撫でやすい位置にあるらしい。あ、でも平助くんは撫でないよ!むしろあたしが撫でてる。

それからそーちゃんと別れ、あたしは台所へ。お茶を煎れて(もちろんちょっとだけ水で薄めてやろうと思ったんだけど、その時たまたまいた千鶴ちゃんに怒られたからやめた)流れるような動作で隣にいた千鶴ちゃんに渡す。


「え、え?」
「これ土方コノヤ、いやいや土方さんに渡してもらってもいい?」
「(コノヤ…?)はい、わかりました」
「(ああもう可愛いなあ!)あとさ、はじめくんどこにいるか知らない?」
「斎藤さんでしたら、自室でお仕事中でしたよ。あ…お茶を持って行って差し上げたらどうです?」
「だね!ありがと千鶴ちゃん!」


千鶴ちゃんをぎゅ、と抱きしめてから、ふんふんと鼻歌を歌いながらお茶を入れ台所を後にする。
目指すははじめくんの部屋!



「はーじめくーん。お茶が入りましたよー」
「…なんであんたが持ってくるんだ?」
「あっは千鶴ちゃんに頼まれた!」
「…はあ、」
「昨日に引き続きまたため息!さすがにちょっと辛いよあたし!」
「煩い」
「…すみませえん…。お詫びに肩揉む」


あたしがそう言って肩揉みを始めると、筆を置いて気持ち良さそうに目を細めるはじめくん。か、可愛っ…!


「ああもう、やっぱあたしはじめくん大好きだよ!」







はじめくんとあたし 3
(な、んなんだ急に!)
(言葉で通じないなら態度で示そうと思って!)


思いっきり抱き着いたら、鳩尾に(はじめくんの)肘がめり込みました。




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